吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

そう言えば、このバンドもコロナ禍で来日中止になってます…(涙)


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『Deceiver』

DIIV

 

 今年はコロナ禍で数多くのバンドのライヴが中止·延期になっていますが、今日、このブログで書きます、DIIVも来日中止になったバンドの一つです。DIIVは4月13日(月)と14日(火)に来日公演を大阪と東京で行う予定でしたが、このバンドのライヴを楽しみにされていた方は、さぞ無念だったことでしょう…。…で、今回は、そのDIIVが昨年10月にリリースした3rdアルバム『Deceiver』について書きます。私自身、実は昨年末に書いたブログの『Best Album Of The Year 2019』(↓下部リンク)の10位に選出させていただいていますが、コロナ禍中になってからは、数日前にブログにも書かせていただいたエリオット·スミスの『either/or』と並んで、個人的にヘヴィー·ローテーションのアルバムになっています。このアルバムが何故、私にとって、現在のコロナ禍の中で重要な作品となっているのかは、このブログをお読みになって判断していただければと思います…。

 

 

Best Album Of The Year 2019 - 吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

 

 

 

 DIIVは、2011年にBEACH FOSSILSのギタリスト、ザカリー·コール·スミスのソロ·プロジェクトとしてスタートしたもので、当時のバンド名は“Dive”でした。Diveはマック·デ·マルコや、WILD NOTHING、DUM DUM GIRLS等が在籍していることで知られている、Captured Tracksと契約し、「Sometime」、「Human」、「Geist」の3枚のシングルをリリース。2012年5月にベルギーに同名(Dive)のグループが存在していた為に、バンド名を現在のDIIVに変更。2012年6月にはデビュー·アルバム『Oshin』をリリースし、有名インディー·ロック·メディアのピッチフォークが同アルバムを“Best New Music”に選出しました。その後、2013年には『FUJI ROCK FESTIVAL '13』にも出演し、日本でも人気が出るようになり、更にザカリー·コール·スミスもイヴ·サンローランのキャンペーンのモデルやファションショーのモデルも務めることで、バンドの知名度も上がっていきました。2016年には2ndアルバム『Is the is Are』をリリースしますが、ザカリー·コール·スミスが薬物依存の治療の為に、6ヶ月の入院をしたことでバンドの活動及び、勢いも止まってしまいました…。

 そして退院後、ベーシストのコリン·コールフィールドのデモ音源を元に、バンド全体としてアルバム制作に取り組んだのが本作の『Deceiver』だそうです。…とは言っても実際にはザカリー·コール·スミスやコリン·コールフィールドのみならず、バンド全員で持ち寄った曲で構成されているそうで、今まで、ザカリー·コール·スミスのソロ·プロジェクト的印象の強かったDIIVとは違った、バンド全員で制作された作品と言えると思います。

共同プロデューサーとして、MY BLOODY VALENTINENINE INCH NAILSのエンジニアを務めた経験のあるソニー·ディペリを迎えていますが、今までのリバーブのかかったドリーミーなサウンドとは打って変わって、ファズのかかったヘヴィーなサウンドが印象に残ります。今までは同じギターのサウンドを2〜3本重ねていたところを、クリアなギターを1本だけとって無駄に重くし過ぎないようにしたりと、サウンド面での変化も充分に感じますし、また、アルバム制作までに時間を取ったことでバンド内でのコミュニケーションも充分に取れたようで、それがメンバーの成長と共にバンドをより飛躍させることにも繋がりました。1曲目の「Horsehead」から重く、陰鬱な雰囲気が漂ってきますが、しかし、だからと言って決して、DIIV特有のドリーミーな楽曲が無くなった訳ではなく、2曲目の「Like Before You Were Born」、3曲目の「Skin Game」を始め、今までのDIIV特有の美しいメロディーは健在です。しかし、どこか重苦しい雰囲気がアルバム全体に漂っているのは確かです…。ザカリー·コール·スミス曰く、このアルバムのテーマとして「自己責任」と「欺瞞」を挙げています。ちなみに、このブログにも貼っている「Blankenship」(↓)は企業による環境破壊と地球規模での環境の変化をモチーフにしていて、ある意味、その地球の環境破壊も「自己責任」と捉えて良いと思います。更にアルバム·ラストを飾る「Acheron」はスロウコアを思わせる、重くミニマムなナンバーですが、この曲に「shikata ga nai(仕方がない)」と言う日本語の歌詞がありますが、これはジョン·ハーシーの著書『HIROSHIMA』(見出しはただ一言「HIROSHIMA」 米記者が1946年に書いた恐怖 - BBCニュース)で、原爆被爆者が発したとされる言葉で、この曲の内容は神について言及しているスピリチュアルな内容の歌ですが、同時に神を信仰したくても「あんな悲劇を起こす神を、どう信仰すれば良いんだ」という意味の歌でもあります。アルバム全体は重苦しい雰囲気に包まれているものの、バンド全体で前向きに生きようとする意思の強さも感じるアルバムで、絶望の中でも強く生きていく意思表示にも捉えることが出来ると思います。

 本作はもちろん、コロナ禍前に制作されたアルバムではありますが、重苦しい雰囲気の中で前向きに進もうとするバンドの姿勢と、現在、世界中の人々がコロナ禍の中で強く生きようとする姿勢がリンクしている気がします。皆さんも現在は辛い中を強く生き抜いている最中ですが、少しでも余裕のある時は素晴らしい音楽に身を寄せて、いつかは来るかもしれないコロナの終息に向けて、頑張って生きましょう。

 

 

 

 

 

 


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https://youtu.be/3ohbZraF1aQ

 

 

 

 

 


https://youtu.be/YWk1v5YSGUY

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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