吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

オマハ産ディスコ·パンクの名盤


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『Danse Macabre : Deluxe Edition』

THE FAINT

 

 

 

 

 

 

 

 このブログを書いている2020年3月3日時点で、新型コロナウィルスの猛威の影響で、既に洋邦数多くのコンサートが延期·中止になっています…。こんな悲惨な状況はおそらく、2011年3月11日直後、…いや、もしかしたら、それ以上かもしれません。もちろん普段、コンサートに何回も行かれる方にとっても大きな痛手ですが、それ以上にコンサートを主催する音楽プロモーションへの影響は相当大きく、特にこれから先、洋楽アーティストの招聘は益々、困難になってくる可能性もあります。私自身が参加予定の来日公演も既に、THE PIXIESNEW ORDERは来日延期、THE NATIONALは来日中止をそれぞれ発表。このブログに書いた、BRIGHT EYESとTOYの来日もかなり危うい状況だと思います。しかし、我々、音楽ファンはコンサートに行くことは困難になってもレコードやCD、或いはダウンロード等で音楽に触れることだけは可能です。こんな困難な時に自分を元気にしてくれるアルバム、涙が出るほど感激出来るアルバムを聴いて、ほんの少しでも乗り切ることも大切です。本日のブログは、私が最近のこの状況でよく聴いている“自分を少しでも元気にしてくれる”アルバムについて書いてます。

 

 THE FAINTは、1995年に米ネブラスカ州オマハで結成されたバンドで、『SUMMER SONIC 2004』にも参加経験のあるディスコ·パンク·バンドと言えば、もしかしたら覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんが、BRIGHT EYESの活躍で一躍、有名になったインディー·レーベル、SADDLE CREEKを代表するバンドと言った方が、より分かりやすいかもしれません。THE FAINTは1995年のデビュー当初は、NORMAN BAILERと言うバンド名で活動し、1995年にデビュー·アルバム『Sine Sierra』をリリースし、このNORMAN BAILERのデビュー·アルバムにはBRIGHT EYESのコナー·オバーストも参加しています。そもそも、THE FAINTの出身地、ネブラスカ州オマハBRIGHT EYESの出身地でもあり、SADDLE CREEKレーベルの拠点でもある場所で、THE FAINTオマハを拠点にするBRIGHT EYESと並ぶ、SADDLE CREEKを代表する重要なバンドとして位置づけされているのです。バンド名をTHE FAINTに改名して、THE FAINTとしてのデビュー·アルバム『Media』を1998年にリリース。早くも翌年の1999年に、2ndアルバム『Blank-Wave Arcade』をリリースすると、このアルバムが音楽メディアに高く評価され、更に2001年に3rdアルバム『Danse Macabre』をリリースすると、更に評価が高まり、この3rdアルバムは“ディスコ·パンクの名盤”として知られるようになり、3rdアルバムの高い評価が、後の日本での『SUMMER SONIC 2004』の参加へと繋がっていきました。この“ディスコ·パンクの名盤”として誉れ高い、3rdアルバムをリマスターし、更にボーナスCDとDVDをプラスして、2012年に『Danse Macabre : Deluxe Edition』としてリリースしたのが本作です。

 80年代のニューウェーヴを基調にしながらも、決して古臭いレトロ主義一辺倒に陥らずに、思わず理屈抜きに身体が踊ってしまうフロア系のビートに昇華しつつ、ポストパンクのクールな質感を見事にブレンドした、クラブ系音楽好きもインディー·ロック好きも理屈抜きに楽しめる一枚ですが、各楽曲の質も高く、単に踊らせるだけではない、20年近く経った、今聴いても充分に“ディスコ·パンクの名盤”として通じる一枚です。もちろん、バンドのサウンドを聴いて、70年代〜80年代を知るオールド·ロック·ファンの方はDEPECHE MODEやSOFT CELL、NEW ORDER、或いはMAGAZINE辺りを連想するのかもしれませんが、このビートそのものの高揚感は、2000年代以降の!!! (Chk Chk Chk)やRAPTUREにむしろ通じていたりもして、不思議と懐古主義的に聴こえないところも、このバンドのセンス故なのかな?と思います。ちなみにこのアルバムのプロデューサーはバンド自身とBRIGHT EYESのマイク·モーギス。モーギスはBRIGHT EYESのメンバーとしてよりも、むしろSADDLE CREEKのプロデューサーやエンジニアとしての活動が本職で、BRIGHT EYESの多彩な音楽性を支えている人物でもあります。このモーギスの影での貢献が大きいのはもちろんですが、この3rdアルバム·リリース前に、デス·メタル·バンドのLEADからギタリストのDaposeが加入し、バンドのサウンドにダイナミズムが増したのも大きな変化だと思います。いずれにせよ、70年代〜80年代を通過していない世代にとっては、クラブ·ユースにも耐えうる素晴らしい作品として聴けるアルバムと断言しても良いと思います。前述にも挙げた、!!!やRAPTURE等のダンス·ロック系サウンドが好きな方は必携の一枚ですね。

 それから、この“Deluxe Edition”盤のもう一枚のボーナス·トラック盤も実は聴きどころで、私は3rdアルバムを持っているにも関わらず、このボーナス·トラック聴きたさに“Deluxe Edition”盤を購入したようなものです(笑)まず2曲目のSONIC YOUTHの『Goo』に収録されているカヴァー曲「Mote」が収録されていますが、このカヴァー曲を見事にデジタル·アレンジして、決して期待を裏切らない出来になっています。このカヴァーのセンスの素晴らしさが、このバンドが決してNW懐古主義ではないことを証明していると思います。それから、SADDLE CREEK支持者、BRIGHT EYESファンにとって嬉しいのは、3曲目の「Dust」と4曲目の「Falling Out of Love at This Volume」での、BRIGHT EYESとの共演で、この2曲もボーナス·トラック盤の売りです。コチラはBRIGHT EYESに合わせることなく、THE FAINT節全開ですが(笑)、コナー·オバーストとはデビュー当初から交友のある関係なので、違和感なく楽しんで聴けます。ちなみに、もう一枚のDVDはMVやライヴ映像、アーカイブ·フッテージ等が収録されていますが、コチラはバンドに興味ある方には楽しめるかな?程度の作品なので、一回観れば充分かな?ぐらいのものかもしれません (苦笑)。でも、この3rdアルバムに興味を持った方は、“お得な”ボーナス·トラック盤の付いた、このDeluxe Edition盤の購入をオススメしたいです。

 このブログの冒頭がいきなり暗い内容のものになってしまいましたが (苦笑)、ライヴ行く行かないに限らず、音楽を楽しむ余裕だけは持ちたいものです。私もこのアルバムを再度、楽しむきっかけになったのは、来日が決定している、 (もちろん、SADDLE CREEK繋がりではありますが)BRIGHT EYESのおかげです 。今年に関してはライヴに行ったりは、新型コロナ·ウイルスの影響で、それほど出来ないかもしれませんが、それなりの音楽生活をおくりたいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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The Faint - Glass Danse

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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