吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

オーストラリアのポスト・パンク・シーンだって熱いんです。



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『Typical System』
TOTAL CONTROL




 2008年に結成された、オーストラリア・メルボルン出身のポスト・パンク・バンド、TOTAL CONTROLが昨年リリースしたアルバム。
 TOTAL CONTROLは、同じオーストラリアのバンド、EDDY CURRENT SUPPRESSION RINGのミッキー・ヤング(G/Key)とダン・スチュワート(Vo)が結成したバンドで、同じオーストラリア出身のポスト・パンク・バンド、BAT NOUVEAUと並んで、オーストラリア・ポスト・パンク・シーン注目のバンドです。
 ニック・ケイヴのTHE BIRTHDAY PARTYやBAUHAUS直系のゴシックなポスト・パンク・バンドのBAT NOUVEAUに対し、TOTAL CONTROLの影響源は、DEVO、Gary Numan、THE SCREAMERS、THE ADOLESCENTS。
 YouTubeでもMVがアップされている、珠玉の名曲とも言える「Flesh War」(この曲は本当に素晴らしいので、是非とも、YouTubeでチェックしてみてください)、あるいはアルバム・トップを飾る「Glass」は、DEPECHE MODEPET SHOP BOYS辺りを思わせるエレクリック・ポップですが、アルバムそのもののサウンドはストレートなパンク・サウンドが中心になっています。
 私自身、このバンドを知ったきっかけは、現在、このバンドがICEAGEのツアーで同行していることだったのですが、耽美なニュー・ウェーヴ・サウンドも直情的なパンク・サウンドも内包している、このアルバムのサウンドは私のツボでした。
 このバンドの中心人物でもある、ミッキー・ヤングとダン・スチュワートと並んで、バンドのサウンドの多様性に貢献しているのが、ベーシストのゼファー・ペイヴィーで、彼はTOTAL CONTROLの他に、EASTLINKやTERRYと言った他のバンドでも精力的な活動を行っていて、ゼファーの存在も、このバンドに欠かせません。
 オーストラリアというと、古くは、AC/DC、MEN AT WORK、2000年代は、THE VINES、JET、WOLFMOTHER、2010年代は、TAME IMPALA、DMA'S等、奇のてらいのないオーソドックスなスタイルのロック・バンドが多い印象が強いのですが、同時にニック・ケイヴやDEAD CAN DANCE、THE SAINTS、RADIO BIRDMAN、SCREAMING TRIBESMANと言ったパンク/ポスト・パンクの産地でもあることを忘れてはいけません。
 オーストラリアのパンク/ポスト・パンク・シーンも、SEXDROMEやICEAGE以降のデンマークのパンク・シーン同様、パンク/ポスト・パンク・ファンが注目すべきシーン。
 2010年代の現在のオーストラリアと言えば、多くのロック・ファンは、TAME IMPALAやコートニー・バーネットに注目しがちですが、両バンドを横目に、BAT NOUVEAUやTOTAL CONTROLを聴いて、現在のオーストラリア・ポスト・パンク・シーンの熱い血潮を感じるのが粋な音楽ファンかもしれません。






















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