吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

赤いワクチンは万病によく効きます



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『English Graffity』
THE VACCINES











 今年のフジ・ロックにも来日も決定している、今月の27日に発売したばかりの待望の3rdアルバムです。
 今回は、THE FLAMING LIPSMGMT等を手掛けた、デイヴ・フリッドマンをプロデューサーに迎えていますが、これはフロントマンのジャスティン・ヤングが、フリッドマンのプロデュースした、WEEZERの『Pinkerton』を気に入っていて、そういった経緯もあって、プロデュースをフリッドマンに依頼したのだそうです。
 新作の骨格自体は、THE VACCINES流のロックンロールが基本にはなっていますが、フリッドマン流のインディー・ポップ・サウンドのタレが効いている、1stや2ndとは少々、趣の違った志向の作品になっています。
 よくUSインディー・ポップにありがちな(笑)歪んだディストーションの効いたサウンド処理が効果的に使われているのも、本作の特色の一つかもしれません。
 M-6「Denial」に代表されるように、少々、サイケデリックサウンド処理を施して、ガレージ主体だった、今までのVACCINES流ロックンロールに彩りと奥行きを与えてハイファイ感が高まったのも、フリッドマン効果かもしれません。
 サウンドが少々、変わっても、肝になっているのは、ジャスティン・ヤングを中心にしたソング・ライティングの素晴らしさだと思います。
 近年、マトモにデビュー作から3枚連続でハイ・クオリティーな傑作を残せているのは、おそらく、2000年代のARCTIC MONKEYS以来だと思いますから、本作で彼等は2010年代のロック・シーン最高のバンドに登りつめたと誰もが認めて良いと思います。
 この作品で、THE VACCINESが証明した事は、これからサウンドが、どう変わろうがソング・ライティングの才能に翳りが見えない限り、これからも素晴らしい作品を作り続けていくであろうということです。
 むしろ、彼等の才能は、ARCTIC MONKEYSよりも、JESUS AND THE MARY CHAINと比較した方が分かりやすいのかもしれません。
 すでに3枚目ではありますが、2010年代のUKロック・シーンを変えただけでなく、これから、新しいUKシーンの歴史を塗り替える可能性も感じさせる素晴らしい作品です。
 サウンドが変わっても、先行シングルの「20/20」、必殺サーフ・ロックの「Handsome」、アメリカのビキニ環礁での核実験をテーマにした、DEAD KENNEDYSのナンバー「Holiday in Cambodia」へのアンサー・ソング「Radio Bikini」なんかは、初期VACCINESファンにとっては最高のワクチン(VACCINE)だと思いますけどね(笑)


















































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