吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

ゴシックでドゥーミーな"魔女達"の2作目




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『All Your Happy Life』

THE WYTCHES

 

 

 

 

 

 

 英ブライトンを拠点に活動しているサイケデリック・ガレージ・バンド、THE WYTCHESが昨年9月にリリースした2ndアルバム(日本盤は今年1月発売)。 2014年にリリースされたデビュー・アルバム『Annabel Dream Reader』以来の作品になりますが、私もこのデビュー・アルバムに関するブログは2015年7月に書かせていただきました。 そのデビュー・アルバムのブログのリンクを参考までにこのブログの下部(↓)に貼らせていただきましたが、このブログがデビュー・アルバムのブログの内容と弱冠、重複している部分もあるかと思いますが、その点はご了承ください。

 THE WYTCHESはイングランド東部のピーターバラでバンドを組んでいたクリスティアン・ベル(Vo/G)とジャンニ・ハニー(Dr)が、2011年にブライトンに移住し、そこでベーシスト募集をかけて出会ったのがダン・ラムジーで、バンド・スタート時はクリスティアン、ジャンニ、ダンの三人組のバンドでした。 その後、オルガン・プレイヤーとしてバンドをツアーやレコーディング等でバンドをサポートしていたマーク・ブリードが2016年8月に正式メンバーとなり現在は4人組のバンド編成になっています。 そして、2014年にデビュー・アルバム『Annabel Dream Reader』を、TEMPLESやTOYのアルバムをリリースしていることでも知られている「Heavenly Recordings」からリリースすると、そのドゥームな鬱屈したギター・サウンドが耳の肥えたインディー/オルタナ好きの感性を擽り、ここ日本でも(徐々にではありますが)評価が高まっているバンドです。 TEMPLESやTOYと同じ「Heavenly Recordings」と契約しているバンド故、THEサWYTCHESをサイケデリック・ロック・バンドとして位置付けされることが多く、もちろんサイケデリック・ロック・バンドとしての位置付け自体は間違いではないのですが、このバンドの元々のルーツはNIRVANAと『Humbug』期のARCTIC MONKEYSにあります。 このバンドのサウンドの特色の一つとしてストーナー・ロックにも通じるドゥーミーで重いギター・サウンドが挙げられますが、彼等が影響を受けたARCTIC MONKEYSの『Humbug』はそもそも、ARCTIC MONKEYSのメンバーがストーナー・ロックの酩酊感を取り入れるために、QUEENS OF THE STONE AGEのジョシュ・ホーミをプロデューサーに迎えた作品で、ご存知の方も多いと思いますがプロデューサーのジョシュも元々はストーナー・ロック・バンド、KYUSSのギタリスト。 『Humbug』を通じてストーナー・ロックの遺伝子を引き継いだのが、このTHE WYTCHESと言っても良いかもしれません。

 本作のプロデュースは最初、Nick Cave & The Bad Seedsのドラマー、ジム・スクラビュノスが担当し「チャペル・スタジオ」でレコーディングしましたが、メンバーが完全に納得する形には至らず、その後にデビュー・アルバムをレコーディングした場所でもある「トゥ・ラグ・スタジオ」で再レコーディングし、その際には同スタジオに所属しているルーク・オールドフィールドをプロデューサーに迎えています。 状況が二転三転してしてレコーディングは難航しましたが、あくまで自分達のスタイルを貫く姿勢が2作目にあたる本作でも見られます。 基本的にサウンドの大きな変化はありませんが、前作よりもヘヴィーでカオティックな作品になり、クリスティアンのシャウト・ヴォーカルも絶叫した時のカート・コバーンのように何かが憑依したかのような凄みも身につけ、小手先のサウンドだけではない成長を感じさせます。 もちろん前作同様、60年代のガレージ・サウンドの匂いも曲によってはプンプン漂ってきますが、NIRVANAの『In Utero』のようなヒリヒリとした感触も感じさせますが、BLACK SABBATH → MELVINS → FU MANCHUと言った古典的なストーナー・ロックの影響を前作以上に感じます。 もはやストーナー・ロック・サウンドを取り入れたARCTIC MONKEYSの『Humbug』を軽く凌駕するストーナーサウンドで、『Humbug』から遡ってルーツのストーナー・ロックに辿り着いた感じがします。 ツアー・バスで読んだトルストイの物語や、ツアー中に出会ったメタル・バンドが本作のインスピレーションになったそうですが、少なくとも本作でデビュー・アルバム時に比較されたレーベル・メイトのTEMPLESやTOYとの比較は相応しくないと思います。 しかし、このアルバムがTEMPLESの作品やTOYの作品に比べても遜色ない傑作なことは間違いないと思います。 ("メタル・バンド"には当てはまりませんが)、一緒に米国を廻ったMETZやCLOUD NOTHINGSからのインスピレーションはおおいに有り得そうです。 このブログでも一時期、書きましたが、UKでは90年代のUSグランジオルタナ勢の影響を受けたラウドなオルタナ・バンドが雨後のタケノコのように登場し、THE VACCINES、SLAVES、ROYAL BLOOD等が大きな成功を収めましたが、このバンドだけは本当に我が道を行く孤高な印象があります。 その"孤高性"故、日本でもオルタナ信者には絶大な支持を受けるものの、大ブレイクには至らないので来日のお呼びも掛からない…。 既にレーベル・メイトのTEMPLESやTOYが何度かの来日を果たしているので是非とも来日して欲しいところですが、…かと言っても、この人達が安易にフェス出演というのも似合いませんし… (苦笑)。 まぁ~、来日するのであれば、小さなイベント会社かレコード会社が渋谷のチェルシー・ホテルか新宿MARZ辺りで観られるのが一番でしょうけど…。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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