吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

最凶マフィアの大傑作


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『As The Veneer Of Democracy Stars To Fade』

 THE POP GROUPのヴォーカリストマーク・スチュワートが、1985年に発表したアルバム。
 マーク・スチュワートの作品は、どれも時代を先取りする前衛的な作品が多く、THE POP GROUP派生組では最も過激です。
 どの作品も必聴ですが、個人的に一番の傑作は本作だと思います。
 マーク・スチュワートとの共同プロデューサーに、UKダブの鬼才、エイドリアン・シャーウッドを迎えていますが、やれダブを取り入れましたとか、やれファンクなビートですとか、そういう生易しいレベルではなく、ロックそのものをエレクトロ・サウンドで切り刻んだ過激なサウンドです。
 初期PILの作品がパンクを抹殺したものとするなら、マーク・スチュワートのこの作品を含む、幾つかのソロ作品はポスト・パンクそのものを抹殺したものと言っても過言ではないと思います。
 ヒップホップとロックを歪みきったノイズで、無惨に破壊した過激で痛快な作品ですが、この作品が85年にリリースされた作品とは思えないような先鋭的なサウンドにも驚かされます。
 この作品はポスト・パンクという範疇を余裕で超えて、ほとんどインダストリアル・ヒップホップな作品になっていますが、THE POP GROUPアヴァンギャルドな側面を更に過激に進化させたものとも言える作品で、THE POP GROUPを通過した者は少なくとも避けて通ってはいけない必聴盤です。
 一応、このアルバムはソロ名義になっていますが、彼の初期作品に欠かせない、MAFFIAのメンバーがサポートしています。
 この作品は、彼のバンド名同様、正に"マフィア"な最凶な作品です(笑)



「Passivecation Program」


「Hypnotised」