吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

パズが正式加入した、再結成第2作目




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『Head Carrier』

PIXIES

 

 

 先月30日にリリースしたばかりのPIXIESの新作で、2014年発表のアルバム『Indie Cindy』以来2年ぶり、2004年の再結成後、2作目のアルバムになります。 前作『Indie Cindy』ではアルバムにサポート・メンバーとして参加していたパズ・レンチャンティンが正式メンバーとして参加する初めての作品にもなります。 2004年にオリジナル・メンバーでバンドが再結成したものの、2013年6月にキム・ディールが脱退。 そして同年7月には元THE MUFFSのキム・シャタックがツアー・メンバーとして加入しますが、同年11月には早くも解雇。 そして同年12月に元A PEFECT CIRCLE/ZWAN/THE ENTRANCE BAND等のパズ・レンチャンティンをツアー・メンバーとして迎え、再結成後初のアルバム『Indie Cindy』にも参加して、その後、パズは正式メンバーとして活動することになりました。 2004年にオリジナル・メンバーで再結成してもブラック・フランシスとキム・ディールの仲は険悪なままで、結局は再結成後、キム・ディールは一枚のアルバムに参加することなく脱退してしまいました。 やはりPIXIESというバンドはコーラスもリード・ヴォーカルも取れるベーシストの存在が不可欠で、そういう意味ではキム・ディール不在の穴を埋めることが出来なければバンドの存続すら危ういことになりかねないのですが、ヴォーカルもコーラスもこなし、ストリングスやピアノも弾きこなせるパズ・レンチャンティンの加入は、キム脱退後の"新生PIXIES"には大きな存在と言えると思います。

 このアルバムでの一番の変化は、1989年発表の『Doolitle』から前作『Indie Cindy』まで、ずっとPIXIESのアルバムを手掛けてきたギル・ノートンに代わって、本作ではトム・ダルゲティがプロデューサーを務めていることだと思います。 旧来のPIXIESファンなら、PIXIESのプロデューサーと言えば反射的にギル・ノートンを思い浮かべるほどの存在でしたが、この大きな変化にも"新生PIXIES"としての新たな意気込みが感じられます。 ダルゲティはROYAL BLOODのデビュー・アルバムのプロデューサーとして脚光を浴びましたが、DINOSAUR PILE-UP、TIGERCUBと言った新進気鋭のオルタナ・バンドを始め、KILLING JOKEOPETH、THERAPY?と言ったバンドまで、ヘヴィーなサウンドのバンドを手掛けることが多いプロデューサーですが、バンドのダイミズムとライヴ感を重要視しながらも、バンドのポップな側面も上手く活かせることの出来る、現在のオルタナ・シーンきってのプロデューサーです。

 アルバムはとびっ切りフックの効いたキャッチーなオルタナ・ソングのアルバム・タイトル曲の「Head Carrier」から始まりますが、どのアルバムでも一番、印象に残りやすい曲からスタートしてアルバム全体を一気に聴かせてしまうのは、もはやPIXIESの常套手段と言えるかもしれません(笑) パズのハーモニーも挿入された2曲目の「Classic Masher」も、PIXIESのキャッチーな持ち味を発揮したアルバム・タイトル曲にも劣らない佳曲で、相変わらずのソング・ライティングのセンスの高さを感じさせてくれます。 フランシスの咆哮が印象に残る「Baal's Back」や超攻撃的な「Um Chagga Lagga」もありますが、全体的には曲のフックを大事にしたキャッチーさを重視した作品になっていると思います。パズは「Classic Masher」や「Might As Well Be Gone」でも素晴らしいコーラスを聴かせてくれますが、9曲目の「All Think About Now」では彼女自身がリード・ヴォーカルを披露しています。 かつてのPIXIESの魅力の一つにキム・ディールのコーラスやヴォーカルもあったわけですが、このアルバムでのパズはキムが担っていた役割を、パズらしい可憐なヴォーカルで充分に旧来のPIXIESファンの期待にも応えていると思います。 過去のPIXIESも力任せの直球サウンドで勝負するバンドではなかったですが、本作は曲調も実に多彩で、年輪を重ねたバンドとしての余裕すら感じさせてくれます。 今年リリースされたDINOSAUR Jr.の新作は曲調自体は多彩ですが、往年のグランジサウンドで突っ走っている印象が強いですが、対して、PIXIESがリリースした本作はオルタナ・アルバムに違いないですが、柔軟性のあるソング・ライティング重視のアルバムになっていると思います。 そもそも、オルタナティヴでありながらもフックの効いたメロディーに魅力を感じるのがPIXIES。 そう考えると以前のPIXIESと大きな違いはないはずなのですが、長年の創作パートナーのギル・ノートンに代わったトム・ダルゲティのプロデュースが、PIXIESのキャッチーな側面を上手く引き出していますし、またパズ・レンチャンティンも正式メンバーとして参加したことでバンドの中に新しい風を吹き込んで、新しいバンドのケミストリーを本作で感じさせてくれたりもしています。  大きなサウンドの変化はないのですが、脱退したキム・ディールの影を"新生PIXIES"の本作に求めるのは野暮と言うものですが、旧来のPIXIESファンも納得出来るアルバムだと思います。

 

 


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進化した"マリアンヌの革命"




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『マリアンヌの革命』(通常盤)

キノコホテル

 

 

 キノコホテルが今年7月にリリースした、通算5作目にあたるアルバムでキング・レコード移籍初のアルバムになります。 アルバムのプロデュースと全曲の作詞/作曲は、キノコホテル支配人でありヴォーカリストのマリアンヌ東雲が務めています。 ちなみに私がこのブログで書いているのは特典無しのシンプルな"通常盤"ですが、"初回限定盤"には、「おねだりストレンジ・ラヴ」のMVと2015年11月に東京キネマ倶楽部で行われた実演会(キノコホテルのライヴは"実演会"と呼ばれています)の映像を収録したDVDが付いて、アルバム・ジャケットの東雲の表情には不気味な笑みが見られます。

 キノコホテルに関しては私のブログで3回ほど書かせていただいているので彼女達の詳しい経歴に関しては今回は割愛させていただきますが、本来のキノコ・ホテルの持ち味でもある昭和歌謡や60's グループ・サウンズの世界観を取り入れたガレージ・サウンドは本作ではかなり希薄になってきていますが、新しい領域のサウンドに挑んだ野心的なアルバムにも関わらずキャッチーな曲もあり、新しいファン層を開拓出来るアルバムとなる可能性もあると思います。 アルバムは過去のアルバム同様にインスト・ナンバー(反逆の季節)から始まりますが、2曲目の「おねだりストレンジ・ラヴ」、3曲目の「回転レストランの悲劇」はオルガンの音色を大胆にフューチャーしたニューウェーヴ・ナンバーで、バンドの新生面と言える楽曲と言えると思います。 もっともニューウェーヴと言ってもシンセサイザーではなく、キノコホテルのサウンドの要になっているオルガンを駆使したオリジナリティの高いサウンドに仕上げているところは、さすがキノコホテル!と言える白眉ものの出来で、このニューウェーヴ・ナンバー2曲を聴くだけでも、このアルバムを買う価値は充分にあると個人的に思います。 そして東雲が"最初で最後なんじゃないかってくらいのポップ・チューン"と自ら評しているポップ・ナンバー「流浪ギャンブル (メカ仕様)」もバンドの新生面の一つと言えるかもしれません。 この曲はゲーム『刺青の国』の書き下ろし曲のためにポップ度数を高めた曲なのだと思いますが、バンド史上最もポップな曲でもキノコホテル"らしさ"は充分、失うことなく仕上げているところは流石だと思います。 もちろん、こうした新生面だけが目立っているわけではなく、サイケデリックな長尺ナンバーの「遠雷」、不気味なループを繰り返す異色のサイケデリック・ナンバー「赤ノ牢獄」、そしてアルバム最後に美しいバラード・ナンバー「月よ常しえに」と、彼女達の最大の魅力でもある古典的なサイケデリック/ガレージ・サウンドもしっかりとこのアルバムでも聴くことが出来ます。 全10曲それぞれが異なる物語でありながらも、トータル性を持った完成度の高いアルバムに仕上がっていると思います。 ただ、以前は昭和歌謡を意識した東雲のヴォーカルから昭和の臭いが薄れてきているような気がしますが、やはりニューウェーヴ志向も取り入れたサウンドには昭和の臭いは合わないからなのでしょう。 新しいサウンドを取り入れて東雲のヴォーカルもポップ度数が上がった気もしますが、バンドの高い技量と完成度の楽曲の質は決して従来のファンの期待を裏切りません。

 私は実はこの新作を買う予定は当初はなかったのですが、タワレコで試聴して購入してしまったぐらいですが、進化したキノコ・ホテルのサウンドはヤバいくらいカッコいいです。 最も個人的に昨年、キノコホテルの実演会に行く予定でいたのが体調不良で諦めてしまった苦い経験もあるのですが、今度こそは万全の体調で実演会に臨みたいとこのアルバムを聴いて、改めて思いました。

 

 

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3年ぶり16作目の大傑作




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『Skeleton Tree』

Nick Cave & The Bad Seeds

 

 

 Nick Cave & The Bad Seedsが今月23日(海外では今月9日)にリリースした新作で、2013年に発表した『Push the Sky Away』以来、3年ぶりの作品になります。 海外で9日に発売された本作は全英アルバム・チャート初登場2位を記録し、有名音楽メディアの「Pitchfork」のアルバム・レビューでも"9.0点"と高評価を受けています。 ちなみに前作『Push the Sky Away』は全英3位を記録して、ニック・ケイヴのキャリア史上、最も成功した作品になりましたが、本作はそれをさらに上回るチャート・アクションを記録しています。

  また、本作の海外発売日前日の9月8日にはこのアルバムをフューチャーした映画『One More Time With Feeling』も世界各地の映画館で公開され、残念ながら日本での公開及び、映像作品化は未定ですが、前作『Push the Sky Away』と映画『20,000 Days on Earth』との関連性に近いものがあると思います。 そもそもニック・ケイヴ自身、サウンド・トラックの制作から脚本の執筆、俳優としてのキャリアまで、音楽だけでなく映像関係にも数多く関わっていて、音楽と映像のリンクはニック・ケイヴにもはや欠かせないものになっています。 私自身、映画『One More Time With Feeling』はもちろん観ていないので、このアルバムを映像とリンクして評価出来ないのは残念ですが、いつか同映画も鑑賞したいものです。

 本作のプロデュース及び、全曲の作曲を手掛けたのはニック・ケイヴとウォーレン・エリス。 ウォーレン・エリスは1994年からThe Bad Seedsのレコーディングに参加しているマルチ・インストゥルメンタリストで、GRINDERMANでも活動を共にしていまいましたが、映画『Lawless』、『Far from Men』のサントラのスコアもニックと共に手掛け、ニックが脚本を手掛ける『20,000 Days on Earth』のサントラのスコアも手掛ける等、The Bad Seeds以外でもニックの音楽創作の重要なパートナーになっています。

 このアルバムはニックにとって永遠のテーマでもある"神"に向かい合った「Jesus Alone」で幕を開けますが、全編のサウンドは本当にシンプルですが、深い悲しみを感じさせながらも限りなく美しいサウンドがアルバム全編を覆っています。 このアルバムの全編を覆っている深い悲しみは、2015年7月のレコーディング期間中に起きたニックの15歳だった息子、アーサー・ケイヴが崖から転落死した事故を多分に想起させるもので、息子アーサーへのレクイエム的な作品とも受け取れると思います。 The Bad Seedsは1984年にデビュー・アルバム『From Her to Eternity』をリリースして以来、音楽性は刻々と変化を遂げてきましたが、音楽性が変化しても、常に"愛"を問い掛けるロマンチストでもあったと思います。 このアルバムでも決して息子が亡くなった悲しみを引きずることなく、愛に咆哮するニックの姿をファンの多くは感じることでしょう。 ニック・ケイヴがキャリアを重ねるごとに衰えるどころか、むしろ多くの音楽ファンを魅了する存在になり得ているのは、もちろん映像とのリンクもあると思うのですが、どこかダークな感性を持っていても常に愛を求めるニックの感性に多くの方が惹かれようになったのもあると私は思っています。 ニック・ケイヴのファンは主にTHE BIRTHDAY PARTYから、ブリクサ・バーゲルドの在籍していた初期The Bad Seedsのサウンドや世界観を好む方が圧倒的多数だと思いますが、そうした若き日のニックのゴシックな感性を抜きにした愛を求める、悲しくも美しいニックの感性をファンならずとも感じることと思います。 息子の死があった以上、聞き手がアルバムに"悲しみ"を強く感じたとしても致し方ないと思いますが、もちろん、このアルバムは悲しみに暮れているだけの内容ではありません。 アルバム最後を飾るタイトル曲の「Sleleton Tree」では「無償のものなど何もない。今はもう大丈夫だ。」と歌っている通り、心の中で負ってしまった悲しみの代償は大きくても前向きに生きようとするニックの姿があります。 今まで、ニック・ケイヴを聴いたことが無かった方にもこのアルバムは是非とも聴いていただきたいと思っています。 長年キャリアを重ねているにも関わらず、今まで以上に愛され続けているニック・ケイヴの本質がアルバムから伝わってくるはずです。 私はこのブログのタイトルに"大傑作"と冠しましたが、それもあながち嘘ではないと理解していただけるはずです(笑)

 

 


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PRIMAL SCREAM東京公演のオープニング・アクトに決定!




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『#N/A』

にせんねんもんだい

 

 

 10月20日PRIMAL SCREAMの東京公演(新木場STUDIO COAST)のオープニング・アクトへの起用が決定した、東京出身の女性3人組のノイズ・バンド、にせんねんもんだいが昨年9月にリリースしたアルバムで、プロデューサーに"UKダブ界の奇才"と称されているエイドリアン・シャーウッドをプロデューサーに迎えた作品で、海外リリースもシャーウッドのレーベル「On-U」からのリリースになっています(ちなみに日本リリースは「Beat Records」から)。 この両者のコラボレーションについての詳細は後ほど触れることにして、先に彼女達の経歴について記しておきます。

 にせんねんもんだいは、1999年に結成された、高田正子(G)、在川百合(B)、姫野さやか(Dr)による3ピース・バンドで、2004年にデビューEP「それで想像する ねじ」のリリースを経て、その後のバンドの活動の拠点となる自主レーベル「美人レコード」を設立。 コンスタントに作品を発表しながら、2011年のBATTLESのオープニング・アクトとしてのUSツアーを含む、20回近くの欧米ツアーに国内外の音楽フェス出演で、日本国内よりも海外での人気・評価が高いバンドです。 彼女達の音楽性は初期こそノイジーオルタナ志向のバンドでしたが、ほぼクラウト・ロックに近いミニマルでダンサブルなサウンドに変貌していきました。 そのクラウト・ロック路線のサウンドは2009年の『Destination Tokyo』から始まり、2013年の『N』、そして『N』の続編にあたる『N'』で人力テクノと言っても差し支えないミニマル・ロックを完成させました。 蛇足ながら付け加えておくと、にせんねんもんだいを聴いたことない方はエイドリアン・シャーウッドがプロデュースしている本作よりも、『N』から先に聴くことを強くオススメします。 本作を紹介しておきながら別のアルバムをオススメするのも、我ながら気が引けるのですが(苦笑)、いきなり始めから本作を聴くより、『N』のミニマリズムを体感してから本作を聴く方がより本作も楽しめると思えるからです。 そして『N』のサウンドにこそ、にせんねんもんだいの魅力の本質が詰まってもいるからです。

 そして、にせんねんもんだいとエイドリアン・シャーウッドとの接点ですが、両者の出会いの起点は昨年4月18日に代官山UNITで行われた、エイドリアン・シャーウッドの来日公演になります。 この来日公演はエイドリアンのプロデュース・ワーク集『Sherwood at the Controls Volume 1 : 1979 - 1984』のリリース・イベントとして行われたもので、ステージ・セットににせんねんもんだい、ミキシング・デスクにエイドリアン・シャーウッドというスタイルでのライヴで、ライヴ・ダブ・ミックス等のパフォーマンスを披露したそうです。 この来日公演の前に行われたのが両者によるレコーディングで、4月14日と15日のたった2日間で「Red Bull Studios Tokyo」で行われたそうです。 在川いわく「レコーディングがスタートしているかどうかも分からない感じで…演奏をしていて気がついたらエイドリアンが録っていた感じですかね…」というコメント通り、彼女達に自由に演奏させておいて、その彼女達の演奏している自然なサウンドから完成型を導き出している感じのレコーディングになったようです。 そして、エイドリアンはレコーディング終盤に、にせんねんもんだいのメンバー達にこう伝えたそうです。 「ライヴにはライヴのマジックがある。 そしてレコーディングにはレコーディングのマジックがあるんだ。 大丈夫だ、これは良いアルバムになるよ!」

 こうしてレコーディングされた音源はエイドリアンのスタジオ「On-U Sound」で最終的に加工されて、マスタリングにラシャド・ベッカーを起用してアルバムは完成に至りました。 結果的に、わずか2日間で行われた両者のコラボレーションはライヴの雰囲気をそのまま生かした、彼女達が今まで作り上げたものとは全く違う、即興性のある作品に仕上がったのではないかと思います。 同じミニマルな楽曲には違いないのですが、ライヴ感のあるザラついたオルタナティヴなサウンドが不穏な感触を作り上げ、オルタナ・インダストリアルと言う呼び方が相応しいサウンドかもしれません。 『N』のように高揚感があってフロアで踊りたくなるような感じではなく、アヴァン・エレクトロニクス風な感触で、『N』を愛聴していた方は少々、戸惑いを覚える作品かもしれません。 それでも楽曲自体はライヴで真価が発揮されそうなものばかりなので、PRIMAL SCREAMの東京公演で観られる方は楽しみなことでしょう。 もっとも私もそのPRIMAL SCREAMの東京公演に参加するので、このバンドの生ライヴを凄く楽しみにしています。 ぜひ彼女達を知らない、PRIMAL SCREAMのファンの度肝を抜くようなパフォーマンスを見せてもらいたいものです。

 

 


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期待の新作(THE POP GROUP、PIXIES他)





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 『Honeymoon on Mars』

THE POP GROUP

(日本盤・輸入盤共に10月28日発売予定)

 

 

  THE POP GROUPが昨年にリリースしたアルバム『Citizen Zombie』以来、2010年に再結成後2作目にあたる10月発売予定のスタジオ・アルバム。 プロデューサーに1979年発表のデビュー・アルバム『Y』をプロデュースしたデニス・ボーヴェルを迎え、さらにPUBLIC ENEMYの初期3作品を手掛けたプロダクション・チーム、Bomb Squadの一員でもあるハンク・ショックリーも本作のプロデュースに関わっています。

 

 「再び彼等と仕事が出来て、とても光栄だった。 彼等は真に善悪を超越しているんだ。」

デニス・ボーヴェル(デビュー・アルバム『Y』、そして本作のプロデューサー)

 

 

「これは造られた憎悪への反抗であり、異質なる遭遇とSF的子守唄で満たされた暗黒の未来への超越の旅だ。」

マーク・スチュワート(THE POP GROUP)

 

 

 

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 『Head Carrier』

PIXIES

(日本盤・輸入盤共に9月30日発売予定)

 

 

  2014年の『Indie Cindy』以来2年ぶり、再結成後2作目にあたる作品になり、プロデューサーにトム・ダルゲディ(KILLING JOKE、ROYAL BLOOD等)を迎え、前作の半分の時間でレコーディングをスムーズに終わらせたそうです。 また、本作はキム・ディールが2013年にバンド脱退以降、サポート・メンバーとして参加していた女性ベーシスト、パズ・レンチャンティン(元A PERFECT CIRCLE/ZWAN等)が正式メンバーとして参加した初の作品にもなります。 前作『Indie Cindy』ではサポート・メンバーとしてレコーディングに参加していたパズですが、本作ではブラック・フランシスとの共作になる「All I Think About Now」でソプラノ・ヴォーカルも披露しているそうです。

 

 

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 『Skelton Tree』

Nick Cave &The Bad Seeds

(輸入盤9月9日発売/日本盤9月23日発売予定)

 

 

  2013年の『Push the Sky Away』以来3年ぶりの作品で、Nick Cave & The Bad Seedsとして通算16作目の作品になります。 なお、この作品の海外発売日(9月9日)の前日にあたる9月8日には、このアルバムをフューチャーしたドキュメンタリー映画『One More Time With Feeling』が世界各地の映画館(計650館)で公開されています(日本では残念ながら未公開) また、この作品の海外発売日(9月9日)と同日に、Nick Cave & The Bad Seedsの旧作品群のリイシュー盤も発売になりました。

 

 

 

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 『Take Control』

SLAVES

(輸入盤9月30日発売予定/日本盤発売予定未定)

 

 

 

  昨年、そして今年のサマソニにも2年連続で出演を果たした、英ケント・ターンブリッジ・ウェルズ出身のローリー・ヴィンセント(G/Vo)とアイザックホルマン(Dr/Vo)の悪ガキ二人による作品。 昨年リリースしたデビュー・アルバム『Are You Satified?』は「NME」を始めとする英国音楽メディアに絶賛され、ノイジーなパンク・サウンドは日本のガキ共もKOされたに違いありません。 2作目にあたる本作も小細工無しのノイジーなパンク・サウンドを届けてくれるのは間違いないなさそうなので、デビュー・アルバムにハマってしまった方はまたKOされること間違いなしです(笑) ちなみにデビュー・アルバムは私のブログの年間ベスト10にも選出しているので、興味ある方は過去のブログを読んであげてください(笑)。

 

 

 

 

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元MANSUNのポール・ドレイパーの初ソロEP




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『EP ONE』

Paul Draper

 

 

 元MANSUNのフロントマン、ポール・ドレイパーが今年6月にリリースした初ソロEPで、ポールの公式な音源としては2004年にリリースされた、MANSUNの未発表曲集『Kleptomania』以来。 MANSUNの実質的なラスト・アルバムの3rdアルバム『Little Kix』(2000年)からですと実に16年ぶり…。 ちなみに、このEPは6月17日付けの全英12インチ・シングル・チャートで見事、1位を獲得し、「Official Vinyl Single Chart」と「Official Physical Singles  Chart」でもそれぞれ2位を獲得し、MANSUNが2003年に解散してから10年以上が経過した現在のポール・ドレイパーへの期待の高さがうかがえます。 

 2014年8月にMANSUNの地元でもあるチェスターで、MANSUNのコンヴェンションが行われ、このEPの音源が公開されたそうですが、ポールはそのコンヴェンションで次のように語っていました。

MANSUN解散後は『Spooky Action』と題したソロ・アルバムのレコーディングを元々、計画していたんだ。 でも当時は個人的な面で音楽を作れるような状況じゃなかったんで棚上げすることにしたんだ。 しかしレコーディング・セッションが凄く良くて、二度目のレコーディング・セッションをやることに決めたんだ。 僕が一緒にやっている新しいバンドと共にアルバム全体を演奏するのが大好きなんだ。」

 また新曲の歌詞についても触れ「歌詞については暗い境遇にいる時のことを書いたんだ。 これまでの中でも最悪な状況にいる時のことをね…。 でも現在は良い状況にあるんだ。 最終的に非常に暗い言葉を歌っているから自分が歌っているのを聴くのが怖いんだけどね。 それはちょっとソロ・アルバムをリリースする僕にとって、多くの憶測を生んで、聴くことを躊躇させるかもね。」と、彼が最も辛い時期に書かれた曲であったことも明かしていますが、このEPはMANSUN活動時からポールを愛してきたファンが10年以上待ち続けた楽しみな音源なのには間違いないありません。

 この4曲入りEPはポール・ドレイパー自らがプロデュースし、3曲目の「The Silence is Deafening」のみ、THE ANCHORESSの女性ヴォーカリスト、キャサリーン・アン・デイヴィスとの共作で、それ以外の曲はもちろんポールによって書かれた曲です。 このEPでポールとバンドを組んでいるのはベーシストのベン・スタックと、ドラマーのジョン・バーネットですが、前述のキャサリーン・アン・デイヴィスがコーラスでEPを全面担当するだけでなく、2曲(M-2、3)でシンセサイザーを担当し、2曲(M-1、3)でエンジニアとしてクレジットされる等、ポールのEPを全面サポートしています。 近年のポールの活動を行っている方のほとんどはご存知のことですが、ポールが2014年にキャサリーンのTHE ANCHORESSの楽曲「What Goes Around」をプロデュースして以来、ポールとキャサリーンは密接な関係にあり、自分のバンドを惜しみなくサポートしてくれたポールの為に、キャサリーンも当然のように全面協力しています。 そして、もう一人の注目のゲストは、プログレッシブ・ロック・バンド、PORCUPINE TREEのメンバーでもあるマルチ・インストゥルメンタリストのスティーヴン・ウィルソンの参加で、彼は2曲目の「No Ideas」でギター、ムーグ、シンセサイザー、アコースティック・ギター等を弾いており、ピアノで始まるサイケデリック風味の曲で、プログレだけでなくモダン・ロックでも真価を発揮出来る、いかにもウィルソンらしい演奏を披露しています。 私はウィルソンがどういう経緯でこのEPに参加したかは詳しく分かりませんが、このポールのEPをリリースしている「Kscope Records」は、奇しくもウィルソンのソロや、彼自身のバンドのPORCUPINE TREE、BLACKFIELD、NO-MANのアルバムもリリースしているプログレ・レーベルで、このEPが「Kscope Records」からリリースするのが決定した時点で、同じレーベル・メイトとして以前から繋がりがあったのは間違いないことでしょう。

 EPの1曲目の「Feeling My Heart Run Slow」のイントロのヘヴィーなギターには驚かされますが、ポールがこのEPの内容を「一部エレクトロニックで、一部ロック。」と語っている通り、ロックもニューウェーヴもエレクトロニックも取り入れた作品に仕上がっています。 それでも根底にあるのはポールのルーツにあるデヴィッド・ボウイやMAGAZINEに共通する美意識を感じさせる楽曲にあり、あのMANSUNの世界観そのものと断言してしまっても、一向に差し支えないと思います。 歌詞はダークでも決してロマンチシズムは失わず、特にエレクトロニック・サウンドには深くMANSUNの美学を感じとるに違いありません。 10年以上待たされたEPはこれからのポールの活躍を充分に期待するに相応しい作品に仕上がったと思います。 この先、もう一枚のEP『EP TWO』のリリースもあるそうで、その後には初のソロ・アルバム『Spooky Action』のリリースもそう遠い日ではないと思います。 そして、ソロ・アルバムをリリースした暁には待望の来日公演を、日本の熱いMANSUNファンのために実現させて欲しいものです。

 


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個人的にサマソニで観られなくて残念でしたが…




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 『Blossoms』

BLOSSOMS

 

 今年の『SUMMER SONIC 2016』、そして今月23日の[Alexandros]との対バンで『SUMMER SONIC EXTRA』(新木場STUDIO COAST)にも出演したバンド、BLOSSOMSが今月5日にリリースしたデビュー・アルバムです。 BLOSSOMSは2013年に結成された、英マンチェスター南部のストックポート出身の5ピース・バンドで、2015年には日本のみ発売のEP『Extendeadly Played』もリリースされて来日公演も行っています。 「MTV Brand New」、「iTunesApple Music New Artists」にも選出され、有望新人アーティストの指標と言われている「BBC Sound of 2016」では4位にランクインして、UK音楽シーンの次世代を担うバンドの一つとして注目されていましたが、デビュー・アルバムの本作が見事、UKアルバム・チャートの1位を獲得して、これからの活動に目が離せないUKバンドになってくると思います。

 THE STONE ROSESOASISと言ったマンチェスターの大先輩達に憧れ、"偉大なポップ・バンドになりたい"という、この夢多き5人の若者達はその夢を叶えるために自費でシングル「You Pulled a Gun on Me」を2014年1月にリリース。 その後、バンドはTHE CORALのジェームズ・スケリーの目に止まり、スケリー主宰のレーベル「Skelton Key Records」と契約し、2014年春にデビューEP『Bloom』をリリース。 その後、2015年に『Blown Rose』『Charlemagne』そして前述の日本盤EP『Extendeadly Played』と、EPを立て続けにリリースし、2016年にも『A Most a Kiss』をリリースして、遂にこのデビュー・アルバムでUKアルバム・チャート1位を獲得する快挙を成し遂げました。

 デビュー・アルバム・リリース前から、DEPECHE MODETHE DOORSARCTIC MONKEYS辺りと比較されてきましたが、サイケデリックやエレクトリック・ポップ、インディー・ロックを行き交うポップなサウンドが彼等の持ち味と言って良いと思います。 本作のプロデュースを務めるのは彼等の最も良き理解者で、デビューEP『Bloom』のプロデューサーでもあった、THE CORALのジェームズ・スケリーと、CLEAN OUT KID、VITAMIN、SHE DREW THE GUN等のプロデュースを務めてきたリヴァプールのプロデューサー、リッチ・ターヴィーの二人によって手掛けられました。 このアルバムには確かに彼等が憧れるOASISTHE STONE ROSESに加え、NEW ORDERと言ったマンチェスターの大先輩のポップネスが脈々と受け継がれています。 このアルバムには目新しいサウンドそのものはありませんが、その代わりに珠玉のポップ・ソングがアルバムを埋め尽くされています。 最高のポップ・サウンドが奇のてらった目新しいサウンドよりも魅力に感じるのは英国人の常で、UKアルバム・チャート1位を獲得したのがそれを物語っていると思います。 スケリーとターヴィーの二人が楽曲ありきで必要以上に音を厚くしなかったことも功を奏して、マンチェスターの人間だけでなく、英国人の感性で響く作品になったのだと思います。 マンチェスター人脈でマッドチェスター的なアルバムを制作するのもアリだったかもしれませんが、普遍的な楽曲を重視するリヴァプール人二人の起用が、シンプルで普遍的なポップ・アルバムを生み出したと言っても良いと思います。

 私も『SUMMER SONIC 2016』のブログで書きましたが、実はこのバンドが観たいにも関わらず、『HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER』から続く過酷な日程のためにBLOSSOMS出演時を仮眠にあててしまい、残念ながら彼等のライヴ・パフォーマンスを観ることが出来なかったわけですが、きっと、この日に観られた方はBLOSSOMSの珠玉のポップ・ワールドに酔いしれたことでしょう。 私もいつか、彼等の来日公演で酔いしれたいと思いますが、それまではこの最高のポップ・アルバムをひたすら聴き倒そうと思います。

 


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