吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

(祝) 来日公演決定!




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 『Visuals』

MEW

 

 

 

 

 

 

 

 9月にジャパン・ツアーも決定した、デンマークコペンハーゲン出身のバンド、MEWが今月21日にリリースしたばかりのアルバムで、2015年4月にリリースされたアルバム『+-』以来、ちょうど2年ぶりの作品になります。 前回のブログでもお伝えしましたが、ちょうど、今月21日のこのアルバムの発売日にMEWのヨーナス・ビエーレとヨハン・ウォーラートのアコースティック・ライヴ&フォト・セッションがタワー・レコード渋谷店で行われ、このイベントに併せ、MEWのジャパン・ツアーの日程も発表になりました。 実は、私もこのイベントに参加して、この時の模様を(写真のみですが)、InstagramFacebookTwitterの各SNSに投稿させていただきました。 このイベントでは、本作『Visuals』の曲に加え、前作『+-』の曲も演奏され、曲によっては大きくアレンジで、改めて、MEWというバンドがヨーナスのヴォーカルを生かしたメロディーありきのバンドであることに気づかされました。 このイベントに参加された方は、私も含めて幸せな気分で時を過ごすことが出来たと思いますが、このイベントに行けなかった方は、9月の来日公演に併せて、このアルバムに聴きいって欲しいと思います。

 さて、前置きはこれぐらいにして本題に入りますが、本作『Visuals』は日本先行発売ではあるものの、2015年4月22日に同じく日本先行発売された『+-』からちょうど2年のスパンでの発売になりますが、『+-』が2009年発売の『No More Stories…』から6年、更に『No More Stories…』は2005年の『And the Glass Hanted Kites』から4年と、新作『Visuals』は近年のMEWにしては異例の早さでのリリースとなりますが、コレは2006年に脱退して2014年に復帰した、ヨーナスの重要な創作パートナーでもあるヨハンの不在の影響も関連していると思います。 2014年にヨハンが復帰してからの『+-』では、名プロデューサーのマイケル・ベインホーンを迎えたのもあって、ポップな作品ながらもバンドとしての輝きを取り戻すことに成功しました。 もちろん、ヨハン復帰はバンドの創作意欲を高める要因の一つではありますが、それ以上にバンドがスピーディーに本作の制作を仕上げた最も大きな要因は、2016年に世界中で起こった様々な"危機"にあったそうです。 イギリスのEU離脱、トランプ氏の大統領就任、そして世界各地での紛争、爆破テロ…。 この嘆かわしい世界中の出来事を、以前のように4~5年かけて悠長にアルバムを制作していたのでは、世界中から自分達が隔離された状態になってしまう…。 もちろん、そうした焦燥感だけがスピーディーなアルバム制作のスピーディー化に繋がっているわけでは無論なく、以前のように曲のディテールにこだわり過ぎずに、意識的に曲の最初の閃きを大事にすることを本作で重視したのも、結果的に制作のスピーディー化の要因の一つだと思います。 世界中の様々な"危機"を反映していると言う意味では、DEPECHE MODEの最新作『Spirit』が真っ先に思い浮かびますが、本作にDEPECHE MODEの『Spirit』に比べて、負のスパイラルに陥るようなダークな感触を感じることはないと思います。 MEWは転調のあるプログレッシブな曲展開の楽曲もバンドの個性の一つになっていますが、本作の楽曲のほとんどはディテールを必要以上に凝り過ぎないシンプルな構成の曲になっています。 今回のアルバムはバンドのセルフ・プロデュースになっていて、ヨーナス、ヨハン、スィラス・グレイ・ヨルゲンセン(Dr)のMEWの正式メンバーに加えサポート・ギタリストのマッズ・ウェグナー、バッキング・ヴォーカリストのサーシャ・ライアビナ、そして、キーボード・プレイヤーとサックス奏者とトランペット奏者と言うシンプルなゲストを迎えての制作になっています。 また、世界中の嘆かわしい状況に触発されたのとは裏腹に、「Twist Quest」で聴けるようなホーンを導入し、ヨハンのグルーヴィーなベースが強調されたナンバーもありますが、これは意図的に祝祭感を意識してのサウンドだそうです。 世界中の嘆かわしい状況には悲観せざるを得ないのは確かですが、負のスパイラルに陥るだけに終わらないポジティヴィティが、現在のバンドにあるのだと思います。 曲によってはアフロ・ビートやR&Bフレイヴァーも感じさせますが、最もバンドにとって最も大切なヨーナスのヴォーカルを生かした、美意識を感じるメロディーとの折り合いも実に見事で、楽曲個々が違った個性を持ちながらも、アルバム全体で流れるような構成になっている点も、MEWらしくて好感が持てます。 また、アルバム・ジャケットとMVのヴィジュアルはヨーナスが手掛けたそうですが、今回のヴィジュアルは万華鏡を意識したものになっているそうです。 不穏さを感じさせる歌詞ではあるものの、それと反した様々な祝祭感も感じさせ、美しいメロディーももちろんある本作は正に"万華鏡"に相応しいのかもしれません。 前作『+-』の分かりやすいポップ性に比べて、楽曲構成がシンプルにも関わらず、一聴しただけではアルバム全体の印象を捉え難いところも万華鏡に例えることが出来ると思います。 前述のアコースティック・ライブでも新作の曲は披露されましたが、ヨーナスのヴォーカルとキーボード、ヨハンのアコースティック・ギターの演奏という構成ながらも、不思議とそのシンプルな曲構成の中に美しいメロディーと歌声の中に、色々な"何か"が詰まっているような不思議な気にさせる"万華鏡"の印象があったのを覚えています。 本作は今までのMEWにありそうでなかったタイプのアルバムではあると思います。 来日公演に行く方はもちろんですが、この時期に行くのは不可能と言う方も是非とも、このアルバムを手にとっていただけたらと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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