吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

(祝)来日決定! & (祝)年間アルバム·ランキング2019第1位


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『Happy in the Hollow

TOY

 

 2014年開催の『HOSTESS CLUB WEEKENDER』以来、6年ぶり。単独公演では初となる公演が、4月16日 (木)に東京·新宿MARSで行われるTOY。私が昨年、書いたこのブログで『Best Album Of The Year 2019』にも第1位に、このアルバムを選ばせてもいただきました。本来なら、昨年1月にリリースされた、このアルバムのブログは昨年の内に書かなければいけないはずのものだったのですが (苦笑)、来日も決定した、このタイミングで『Happy in the Hollow』について書くのも悪くないのかな?と言い訳しときます(笑)

 私のブログを過去から購読されている方は、気付いておられる方もいらっしゃると思いますが、私は過去に彼らの2ndアルバム『Join the Dots』、3rdアルバム『Clear Shot』についてブログも書いている、一応、TOYの大ファンです。特に『Clear Shot』に関しても、2016年の年間アルバム·ランキングの第3位に選出させていただいているので、私がどれだけ、TOYを好きなのかはご理解いただけてると思います。TOYはデビュー当初は、『Primary Colours』発表時のTHE HORRORSと比較されることが多かったのですが、人気に関しては、THE HORRORSはもちろん、他国のサイケデリック·ロック·バンドのDEERHUNTERや、TAME IMPALAにも大きく水を開けられ、特に我が日本では、なかなか評価が得られないバンドでした。しかし、遂に4枚目のこのアルバムのリリース後に、やっと実現した単独来日公演を機会に、TOYの素晴らしさが少しでも我が国で理解されたらと思います。

 

 

 

 

killer-yoshikage.hatenablog.com

 

 

 では、このアルバムについて書きたいと思いますが、過去の彼らの歴史等に関しては、前述の通り、私は過去に『Join the Dots』や『Clear Shot』のブログで書いたはずなので、そこは割愛させていただきたいと思います。

 このアルバム『Happy in the Hollow』は、彼らにとって、通算4枚目のアルバムになりますが、彼らの過去3枚のアルバムをリリースした、『Heavenly Records』から『Tough Lough Records』に移籍した初のアルバムになります。 フロントマンのトム·ドゥーガル曰く、このアルバムでは新鮮なアプローチを試したかったそうで、このアルバムを『Tough Lough Records』のスタッフに聴かせた時に、彼らが示してくれた、自分達の音楽に対する熱意や情熱に惹かれたそうで、TOYが新しい音楽を創作するうえで、このレーベル移籍は必然のものだったと言えるのだと思います。そして、本作はセルフ·プロデュース作品でもあり、初めて、自分達でミックス·ダウンを行った作品にもなります。セルフ·タイトルのデビューアルバムから『Join the Dots』までを手掛けたエンジニアのダン·カレイのスタジオを借りて、彼にアドバイスを受けながら、やり方を覚えていき、スタジオを“一つの楽器”として使えるまでに至ったと言うことで、より今まで以上にクリエイティブな、アルバム制作が出来た作品だと言えると思います。

 前作『Clear Shot』は憂いを感じさせる耽美ながらもシンプルなギター·ロック作品で、彼らのソング·ライティングの素晴らしさを強く感じさせる作品でしたが、本作はより多面的に、サイケデリック、クラウト·ロック、ポスト·パンク等、様々なサウンドを取り入れた作品で、TOY独特の美意識の高さを感じさせつつも、実験的なアプローチも盛られた、聴きどころの多い作品に仕上がっていると思います。冒頭曲の「Sequence One」は、ベース·ラインが印象に残る楽曲ですが、どこか、THE ROLLING STONESの『Their Satanic Majesties』を思わせる、パラノイアな独特な世界観を漂わせています。そこから、TOY独特の憂いのある美しさを感じさせる「Mistake a Stranger」を経て、アグレッシブなオルタナ·ナンバーの「Energy」とへと展開しますが、今まで以上に一曲一曲の繋がりが万華鏡のように変化していくところは、今までのTOYにありそうでなかった展開かもしれません。祝祭を感じさせる「Strangulation Day」、機械的なクラウト·ロックながらも人間味を感じさせる「Mechanism」、そして、インスト曲「Charlie's House」からラストの「Move Through the Dark」への美しい展開。漆黒の闇から眩いばかりの光、そして再び闇と言った具合に、様々なTOYワールドが堪能出来る一枚と言えると思います。様々なサウンド·アプローチが聴ける作品ではあっても、常に美意識と憂いのある耽美な世界観は大事にされている作品ではあると思います。この前述の美意識がサイケデリック·バンドとして、ピッチフォーク等の偏屈なインディー·メディアの正当な評価の妨げの一因にもなっていると思われますが、それとは反するように本質的に憂いのある美しいUKロックを好まれる方には根強く愛されるバンドではないかと思います。

 駄文の私のブログで、TOYの素晴らしさが伝わったどうかは疑問ですが (苦笑)、機会ある方は是非とも、4月の来日公演に足を運ばれることを強くオススメします。

 

 

 

 

 

 

 

 


TOY - 'Sequence One' (Official video)

 

 

 

 

 


TOY - "Mechanism' (Official Video)

 

 

 

 

 


TOY - 'You Make Me Forget Myself' (Official video)

 

 

 

 

 

 

 

 

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