吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

KULA SHAKER Live in Japan (11/21)




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 今年の『FUJI ROCK FESTIVAL 2016』にも出演したKULA SHAKERですが、約5ヶ月ぶりになる、それほど間を空けない期間での単独来日公演。 しかし今回の単独来日公演が今年のフジ・ロックと違う点は、今回のジャパン・ツアーが1996年にリリースされたデビュー・アルバム『K』20周年のアニヴァーサリーとなる『K』全曲再現ライヴ。 フェスでは比較的、新作からの曲を交えてのいわゆるアーティストのグレイテスト・ヒッツ的な選曲になる傾向が多くなりがちですが、今回の『K』全曲再現ライヴはフジロックを観に行けなかったファンばかりでなく、今年のフジロックKULA SHAKERを観られた方も楽しみにされた来日公演じゃなかったかと思います。 私が今年経験した、いわゆる"全曲再現ライヴ"は1月のTELEVISIONの『Marquee Moon全曲』再現ライヴと、8月の『SUMMER SONIC EXTRA』で実現した、SUEDEの『Night Thoughts』&『Coming Up』全曲再現ライヴになりますが、いずれの全曲再現ライヴもかなり素晴らしい内容で心に残っただけに、私もこの『K』再現ライヴにも大きな期待をしていましたが見事にその期待に応えてくれたと思います。

 今回の来日公演の会場のZEPP DiverCity Tokyoは私自身、昨年のポール・ウェラーの来日公演で来た会場なので、少し遅めに家を出たのですが、5時にならないうちにお台場近辺は真っ暗。 少々、小雨がパラつく生憎の天気でしたが、幸い、それほど寒くもなく、この時期にしては気温の高い今年の冬にはある意味、涼しくてちょうど良いぐらいだったかもしれません。 DiverCityの入口に入ると、HURRICANE #1の来日公演でも話させていただいた新潟から来た男性の方と再びお会いすることが出来ました。 私もFacebookの友達のOhkiさんと一緒にライヴを観る予定なので長くは話せませんでしたが、一緒にHURRICANE #1の最前列に陣取った仲間(笑)と再び旧交を深めることが出来て、私も嬉しかったです。 …で、そのOhkiさんを待っている間に入場時間が来たので私は一足先に入場して、ドリンクを一気飲みして、会場内に入ってステージ右側のほぼ最前列に近い位置に陣取ることが出来ました。 Ohkiさんは19時開演ギリギリで私と無事、合流することが出来、ホっと一安心しました。 ZEPP TOKYOも近辺ある、このお台場の青海駅(ゆりかもめ線)近辺は慣れないと非常に分かりずらい場所にあるので彼女に限らず迷う方の多い地ではあるのですが、とにかく無事にご一緒出来て良かったです。

 そして、ほぼ定刻通りに登場したのがオープニング・アクトのOGRE YOU ASSHOLE。 OGRE YOU ASSHOLEは2001年に結成された長野県出身の4ピース・バンドで、2009年に発表したシングル「ピンホール」が、アニメ『蒼天航路』のエンディング・テーマとして使われていたこともあり、2010年にはモントリオール出身のWOLF PARADEと北米ツアーを廻った経験もあるバンドです。 アルバムやシングルの楽曲を聴くと、比較的、エッジの効いたギターが印象に残るバンドだと思いますが、このライヴではアルバム以上にサイケデリックな轟音ギターが印象に残る、ライヴで鍛え上げてきたバンドというのが伺え、KULA SHAKERのオープニング・アクトとしては充分なインパクトのあるバンドだったと思います。 ギタリストの馬渕のヘヴィーなサイケデリック・ギターに、ベーシストの清水のグルーヴィーなベースは、バンドの大きな肝になり、この二人がバンドにダイナミズムをもたらしていると思います。 ただ個人的にヴォーカリストの出戸のJ-POP風のナヨナヨしたようなヴォーカルが今ひとつ好きになれませんが、バンドのダイナミズムと出戸のヴォーカルのアンバランスなところが、このバンドの個性になっているのかもしれません。 30分という短い時間ではありますが、ライヴでしか体験出来ない彼等なりの持ち味は充分、発揮出来たと思いますし、それなりに会場のファンに自分達をアピール出来たんじゃないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 


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 そして、オープニング・アクトのOGRE YOU ASSHOLEのライヴが終わり、真打ちのKULA SHAKERの登場を待つばかりとなりましたが、比較的、"『K』20周年"という割にはステージ・セットはかなりシンプルなものになっていました。 一応、ステージ・セットの右サイドと左サイドにアルバム『K』を象徴するデザインの垂れ幕(左サイドは"K"とシンプルに描かれたもので、右サイドはインドの民族衣装を纏った男女)が下がった来て観客は盛り上がりましたが、あくまで大仰なステージ・セットに頼らないバンドとしての気概を感じられたと思います。 そして、メンバーが登場すると大歓声が普通に沸きましたが、"『K』全曲再現ライヴ"にも関わらず、最初に演奏されたのはTHE BEATLESのアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のタイトル曲のカヴァーという、かなり意表をついた選曲で、呆気に取られたファンも少なくなかったかもしれません。 この選曲が『K』が『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のオマージュとしての宣言なのか?。 それとも単純にメンバーが好きでプレーしたかっただけなのか私には分かりませんが、このジャパン・ツアーの前にクリスピアンが「ほぼ『K』をそのまま演奏する」ようなことを言っておきながらの、意表をついた選曲はこの全曲再現ライヴは、我々が思っている"全曲再現ライヴ"とは"何か"が違うと思わせる、そんなオープニング・ナンバーでした。 そして、2曲目に最新作『K 2.0』からの「Let Love You」を挟み、ようやく3曲目から『K』のオープニングを飾る「Hey Dude」に入って、この曲から真の意味での『K』全曲再現ライヴの始まりと言っても良いぐらいかもしれません。 次の曲は「Knight on the Town」ですが、この全曲再現ライヴは単純にアルバムの曲順に演奏するのではなく、『K』以外の曲も交えて、『K』の曲順もライヴの流れに合わせて組み替え、『K』というアルバムをライヴというシチュエーションの元に再構築したものと言っても良いかもしれません。 私が一番、このライヴで驚いたのはバンドの高い演奏技術かもしれません。 KULA SHAKERはいわゆる"再結成バンド"ではありますが、現在のバンドは2004年に再結成してから既に12年が経ち、1999年の解散前よりも長くバンドを継続しているわけで、演奏技術もバンド・アンサンブルも解散前よりも現在の方が高いのかもしれません。 KULA SHAKERの音楽はインド音楽云々で語られることも少なくないバンドですが、基本的に60~70年代のサイケデリック・ロックがベースになっていて、最新機材に頼らない、バンドの技量そのもので勝負せざるを得ないバンドなのですが、この『K』のサウンドがバンドの技量に裏打ちされたものだと改めて実感しました。 それから、クリスピアンとアロンザが年齢を重ねてもほとんど老け込むことがなく、スタイリッシュなイメージを維持していることも驚愕に値するかもしれません。 おそらく、見た目にしても演奏技術にしても日々、精進を重ねてストイックにバンド活動を行っているのかもしれません。 そして、ライヴで『K』の世界観に浸ってみて改めて感じたことは、バンドのサウンドもオーソドックスなサイケデリックサウンドをベースにしながらも、言葉が分からなくても口ずさみたくなるようなビッグ・サウンドが何気に脈打っているところも魅力の一つだと言うことです。 「Hey Dude」の"Catch the Sun!"とか「Grateful When You Dead」の"Ba ba ba~」とか単純に英語が分からなくても口ずさめるのに加えて、「Govinda」でインドの言葉で合唱が起こるのなんてKULA SHAKERぐらいなもんですよね?(笑) アンコールでは日本のファンに人気の高い「Hush」はおおいに盛り上がったと思いますが、「Govinda」の大合唱は会場にマジカルな雰囲気を作り出していたと思います。 この曲もインド風味ですが、もの悲しくもメランコリックで限りなく美しい「TATTVA」も個人的には印象に残りましたし、「Into the Deep」はメロディックなUKギター・ロックの伝統に根付いていることに気付かされました。 そんな『K』の世界観もあっという間に終わった気もしたほど充実していましたが、この日展開された『K』は再構築されて、現代版の『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に昇華されていたと言ったら大袈裟でしょうかね?(笑) まぁ~、それはともかく、KULA SHAKERでしか味わえないサイケデリック・ワールドを体験出来たのは間違いないと思います。

 帰りは一緒にいたOhkiさんと帰りましたが、しばらく私もKULA SHAKERのシンプルにも関わらず、摩訶不思議な中毒性のある楽曲が頭の中をリフレインしていました。 このライヴのおかげで『K』の魅力を改めて再認識しましたし、良いライヴをやった云々を超えた"何か"を私に残してくれた気がします。 もっとも、その"何か"は私にも分からないのですが… (苦笑)。 てな訳で今回もライヴを楽しみましたが、次回のライヴは来月6日のMARCHING CHURCHになります!

 

 

(※)この日の公演のセット・リストを新たに追記しておきます(11月23日 追記)

 

 

 

 

Monday 21st November (2016)

KULA SHAKER Live in Japan Setlist

(@ZEPP DiverCity Tokyo)

 

 

1. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band

2. Let Love B (with You)

3. Hey Dude

4. Knight on the Town

5. Temle of Everlasting Light

6.  Smart Dogs

7. Magic Theatre

8. Into the,Deep

9. Shower Your Love

10. Dance in Your Shadow

11. Gokula

12. Sleeping Jiva

13. TATTVA

14. Greatful When You Dead/Jerry was There

15. 303

16. Start All Over

17. Hollow Man

18.  Raagy One (Waiting for Tomorrow)

 

【Encore】

19. Infinite Sun

20. 33 Crows

21. Hush

22. Great Hosannah

23. Govinda

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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