吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

期待の2作目はマイクD(BEASTIE BOYS)プロデュース作品!




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『Take Control』

SLAVES

 

 

 昨年の『SUMMER SONIC 2015』に引き続き、今年の『SUMMER SONIC 2016』にも出演した英ロイヤル・タンブリッジ・ウェルズ出身のローリー・ヴィンセント(G/B/Vo)とアイザックホルマン(Dr/Vo)によるパンク・デュオ、SLAVESが先月30日にリリースしたばかりのアルバムです。 昨年リリースしたデビュー・アルバム『Are You Satisfied?』は全英アルバム・チャート8位のヒットを記録しましたが、2枚目のスタジオ・アルバムにあたる本作のプロデューサーに元BEASTIE BOYSのマイクDを起用しました。 もっともマイクD自身も、BEASTIE BOYS時代の1986年のデビュー・アルバム『Licensed to Ill』で全米で大ブレイクした頃は悪ガキ・ラップ・グループとして鳴らしただけに、SLAVESとマイクDという組み合わせは最高に期待出来るコラボと言えると思います。

 その注目の組み合わせによる本作ですが、基本的に前作のデビュー・アルバムの路線を踏襲したローリー・ヴィンセントのダーティーサウンドのギターが印象に残る、ヘヴィーなパンク・アルバムになっています。マイクDがプロデュースを担当することで大胆なサウンドの変化も予想出来ただけに、ほとんど前作と変わらないサウンドはSLAVESらしいと言えばSLAVESらしいのですが、むしろ拍子抜けに思えなくもないです。 しかし元々、マイクDのBEASTIE BOYSが『Licensed to Ill』リリース前は元々、ハードコア・パンク・バンドで、『Licensed to Ill』リリース前の1982年には『Polly Wog Stew』を、1995年には『Aglio E Olio』と言ったハードコア・パンク・アルバムを制作していることを考慮すると、マイクDがSLAVESの新作に、前作同様のダーティーなパンク・サウンドを求めたのは至極当然で、中途半端に新しいサウンドを取り入れるのは愚の骨頂と判断したのかもしれません。 そのプロデューサーのマイクDが参加している楽曲も当然あり、3曲目の「Consume Or Be Consused (feat. Mike D)」に参加していて、ほぼ両者の組み合わせから予想出来るラップ・メタル・ナンバーです。 前作収録の「Cheer Up London」もSLAVES流のラップ・メタル・ナンバーと言えなくもないですが、本作の「Consume Or Be Consused」は両者の組み合わせの妙を最高に生かした秀逸なナンバーと言えると思います。 いっそのこと、本作全体をラップ・メタル・ナンバーで埋めてもそれはそれで面白かったことでしょう(笑)

 そして、マイクDの他にももう一人、注目のゲストが参加していているのですが、それは「Steer Clear」に参加しているバクスター・デューリーで、あのイアン・デューリーの息子でもあります。 オールド・ロック・ファンの方にはイアン・デューリーが1977年に発表したアルバム『New Boots and Panties!!』のジャケットに写っていた子供だと説明すれば、一番、分かりやすいでしょうか?  バクスター・デューリーは名門レーベル「Rough Trade Records」と契約し、2001年に「Oscar Brown EP」でデビュー。 2002年にデビュー・アルバム『Len Parrot's Memorial Lift』以降、2016年現在まで4枚のスタジオ・アルバムをリリースしているシンガーです。 バクスターが参加している「Steer Clear」はニューウェーヴ・フレイバーなナンバーでSLAVESにしては異色のナンバーですが、バクスターのヴォーカルを生かした好ナンバーだと思います。 若さで突っ走るナンバーが圧倒的に多いSLAVESにとって、今後の新機軸になるかどうかは分かりませんが、マイクD参加曲の「Consume Or Be Confused」とは対称的な魅力を持った、こうした楽曲も次作以降、増えてくる予感もありそうな気がします。

 

 本作は、ほとんど前作と変わらない路線のパンク・アルバムではありますが、カナダのMETZが1stも2ndもヘヴィーなサウンドのアルバムをリリースしてもいずれも傑作だったのと同様に、このSLAVESの2ndアルバムもデビュー・アルバムに引けを取らない傑作アルバムだと思います。 若い現在の彼等が変に小手先の幅広いサウンド志向のアルバムを制作するより、ダーティーで最高のアルバムを制作する方がよっぽど誠実だと言えると思います。 RAMONESだって、ボン・スコット在籍時のAC/DCだって、基本的なサウンドは常に変わらなかったですが、最高にカッコいい曲を書くことで何枚ものアルバムをリリースしてきたわけですから、最高のロックンロール・バンドに小手先だけの新しいサウンドは不要なんだと思います。 もちろん、SLAVESも永遠にカッコいいロックンロール・バンドを目指してもらいたいと、心の底から私は思っています。

 

 

 


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