吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

パズが正式加入した、再結成第2作目




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『Head Carrier』

PIXIES

 

 

 先月30日にリリースしたばかりのPIXIESの新作で、2014年発表のアルバム『Indie Cindy』以来2年ぶり、2004年の再結成後、2作目のアルバムになります。 前作『Indie Cindy』ではアルバムにサポート・メンバーとして参加していたパズ・レンチャンティンが正式メンバーとして参加する初めての作品にもなります。 2004年にオリジナル・メンバーでバンドが再結成したものの、2013年6月にキム・ディールが脱退。 そして同年7月には元THE MUFFSのキム・シャタックがツアー・メンバーとして加入しますが、同年11月には早くも解雇。 そして同年12月に元A PEFECT CIRCLE/ZWAN/THE ENTRANCE BAND等のパズ・レンチャンティンをツアー・メンバーとして迎え、再結成後初のアルバム『Indie Cindy』にも参加して、その後、パズは正式メンバーとして活動することになりました。 2004年にオリジナル・メンバーで再結成してもブラック・フランシスとキム・ディールの仲は険悪なままで、結局は再結成後、キム・ディールは一枚のアルバムに参加することなく脱退してしまいました。 やはりPIXIESというバンドはコーラスもリード・ヴォーカルも取れるベーシストの存在が不可欠で、そういう意味ではキム・ディール不在の穴を埋めることが出来なければバンドの存続すら危ういことになりかねないのですが、ヴォーカルもコーラスもこなし、ストリングスやピアノも弾きこなせるパズ・レンチャンティンの加入は、キム脱退後の"新生PIXIES"には大きな存在と言えると思います。

 このアルバムでの一番の変化は、1989年発表の『Doolitle』から前作『Indie Cindy』まで、ずっとPIXIESのアルバムを手掛けてきたギル・ノートンに代わって、本作ではトム・ダルゲティがプロデューサーを務めていることだと思います。 旧来のPIXIESファンなら、PIXIESのプロデューサーと言えば反射的にギル・ノートンを思い浮かべるほどの存在でしたが、この大きな変化にも"新生PIXIES"としての新たな意気込みが感じられます。 ダルゲティはROYAL BLOODのデビュー・アルバムのプロデューサーとして脚光を浴びましたが、DINOSAUR PILE-UP、TIGERCUBと言った新進気鋭のオルタナ・バンドを始め、KILLING JOKEOPETH、THERAPY?と言ったバンドまで、ヘヴィーなサウンドのバンドを手掛けることが多いプロデューサーですが、バンドのダイミズムとライヴ感を重要視しながらも、バンドのポップな側面も上手く活かせることの出来る、現在のオルタナ・シーンきってのプロデューサーです。

 アルバムはとびっ切りフックの効いたキャッチーなオルタナ・ソングのアルバム・タイトル曲の「Head Carrier」から始まりますが、どのアルバムでも一番、印象に残りやすい曲からスタートしてアルバム全体を一気に聴かせてしまうのは、もはやPIXIESの常套手段と言えるかもしれません(笑) パズのハーモニーも挿入された2曲目の「Classic Masher」も、PIXIESのキャッチーな持ち味を発揮したアルバム・タイトル曲にも劣らない佳曲で、相変わらずのソング・ライティングのセンスの高さを感じさせてくれます。 フランシスの咆哮が印象に残る「Baal's Back」や超攻撃的な「Um Chagga Lagga」もありますが、全体的には曲のフックを大事にしたキャッチーさを重視した作品になっていると思います。パズは「Classic Masher」や「Might As Well Be Gone」でも素晴らしいコーラスを聴かせてくれますが、9曲目の「All Think About Now」では彼女自身がリード・ヴォーカルを披露しています。 かつてのPIXIESの魅力の一つにキム・ディールのコーラスやヴォーカルもあったわけですが、このアルバムでのパズはキムが担っていた役割を、パズらしい可憐なヴォーカルで充分に旧来のPIXIESファンの期待にも応えていると思います。 過去のPIXIESも力任せの直球サウンドで勝負するバンドではなかったですが、本作は曲調も実に多彩で、年輪を重ねたバンドとしての余裕すら感じさせてくれます。 今年リリースされたDINOSAUR Jr.の新作は曲調自体は多彩ですが、往年のグランジ・サウンドで突っ走っている印象が強いですが、対して、PIXIESがリリースした本作はオルタナ・アルバムに違いないですが、柔軟性のあるソング・ライティング重視のアルバムになっていると思います。 そもそも、オルタナティヴでありながらもフックの効いたメロディーに魅力を感じるのがPIXIES。 そう考えると以前のPIXIESと大きな違いはないはずなのですが、長年の創作パートナーのギル・ノートンに代わったトム・ダルゲティのプロデュースが、PIXIESのキャッチーな側面を上手く引き出していますし、またパズ・レンチャンティンも正式メンバーとして参加したことでバンドの中に新しい風を吹き込んで、新しいバンドのケミストリーを本作で感じさせてくれたりもしています。  大きなサウンドの変化はないのですが、脱退したキム・ディールの影を"新生PIXIES"の本作に求めるのは野暮と言うものですが、旧来のPIXIESファンも納得出来るアルバムだと思います。

 

 


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