吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

(祝) 来日決定! (白い唇のいざない編)


f:id:killer_yoshikage:20200202233048j:image

『And The Glass Handed Kites…』

MEW

 

 今回のブログは6月にジャパン·ツアーも決定している、MEWが2005年にリリースしたアルバム『And The Glass Handed Kites…』について書きますが、そのジャパン·ツアーは『And The Glass Handed Kites…』の“15th Anniversary”と言うことで、このアルバムの全曲再現ライヴが予定されています。しかも、このアルバムを全曲通して演奏するのは初めてになるそうで、今までのジャパン·ツアーのほとんどに行かれている方でも新鮮な気持ちで、この来日公演を体験出来るかもしれません。

 MEWは2003年にメジャー·デビュー·アルバム『Frengers』(実はMEWはこのメジャー·デビュー·アルバムの前に、インディーズ·レーベルで2枚のアルバムをリリースしているので、『Frengers』は通算3枚目)をリリースし、このアルバムが歴史的名盤として、後々までMEWの代表作として多くの音楽ファンに知られてきました。『Frengers』の次作にあたる、2005年発表の本作は発表当初こそ、それなりに評価されてきたアルバムですが、2020年の現在、このアルバムの印象は『Frengers』と比較すると薄いかもしれません。もちろん長年、MEWを長い間聴いてきた方にとっては重要なアルバムの一枚なのかもしれませんが、ヨハン·ウォーラートがバンドに復帰した近年の『+―』(2015年発表)や『Visuals』(2017年)と比較しても、やはり印象は薄いかもしれません。このアルバムのプロデューサーは後に『+―』も手掛けることになるマイケル·バインホーン。バインホーンは、MEWの本作や『+―』の他にも、KORNMARILYN MANSON、HOLE、そして、SOUNDGARDENを手掛けてきた名プロデューサーです。私自身、一度、MEWの『+―』についてブログを書いたことがあり、このアルバムを手掛けたバインホーンについて触れてもいるので、駄文のブログですが参考にしていただきたいです (↓)

 

 

killer-yoshikage.hatenablog.com

 

 

 ヨハン·ウォーラートが復活したアルバムでもある、バインホーン·プロデュースの『+―』は、思いっきりポップに振り切ったアルバムで聴き易いだけでなくソング·ライティングにも素晴らしい冴えを見せた、MEWの本格的な復活を思わせる好アルバムでしたが、本作の『And The Glass Handed Kites…』では不穏なオルタナ·インスト·ナンバーの「Circuitry of the Wolf」で幕を開け、このオープニング·ナンバーを聴いて、耽美で美しくプログレッシブな『Frengers』とは全く違った印象を冒頭から持った方も多いと思います。このオープニング·ナンバーから連動した2曲目の「Chinaberry Tree」こそ耽美で美しいMEWらしいナンバーですが、DINOSAUR Jr.のJ·マスキスとのデュエット·ソング「Why are You Looking Grave?」では、再びオルタナ·ナンバーに移行し(ちなみにマスキスは「An Envoy to the Open Fields」でもバッキング·ヴォーカルで参加)、冒頭からかなりの度合いでオルタナ嗜好の強い印象を与えています。MEWとマスキスのコラボは異色な印象がありますが、元々、MEWのメンバーは、DINOSAUR Jr.の大ファンでこのアルバム制作前からの旧知の間柄だった為にすんなり実現したコラボらしいのですが、このマスキスの参加もこのアルバムのオルタナ化の印象をかなり濃くしている部分はあると思います。耽美で美しいサウンドと不穏でラウドなギター·サウンド、下手すれば水と油の関係になりかねない二つのサウンドを上手く融合させ、個々の曲が違った個性を持っているにも関わらず、アルバム全体が一つの大きな流れを持つように展開していく様は実に見事としか言いようがなく、オルタナティブな新しい血を導入しながらも、MEWの美意識も強く感じさせる、『Frengers』とは全く違った傑作アルバムになっていると思います。しかし、この“新しい血”であるはずの不穏でラウドなギター·サウンドが、どこかヒリヒリとした痛みに感じてしまうのは、本作リリースの翌年の2006年にヨハンが脱退してしまった為、このアルバムのサウンドも自然に痛々しく感じさせてしまっている部分も否定出来ず、ヨハン復帰後の『+―』までの長い低迷期の予兆に聴こえてしまうのでしょう…。しかし、ヨハン復帰後で見事に復活し、アルバム発売から15年経ち、全曲再現ライヴも実現する現在こそ、このアルバムの真の意味での評価が出来る時なのかもしれません。名盤『Frengers』の影になって、長年、正当な意味での評価がなされてこなかった本作をじっくり聴くには、6月のジャパン·ツアーは良いきっかけになるのではないでしょうか? 実は私自身も恥ずかしながら、『Frengers』や『+―』、『Visuals』に比べ、本作は近年、ほとんど聴いていなかったに等しいのですが、このジャパン·ツアーをきっかけに久々に聴いてみたら、本作が凄いアルバムであることを改めて実感し、最近、よく聴いているアルバムの一枚になっています。

 なお余談ですが、タイトルの副題 (?)の“白い唇のいざない”は、本作の日本盤のボーナス·トラックとして収録されている曲で、ヨナス·ビエーレが日本語で歌っている曲です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


MEW - Special (Video)

 

 

 

 

 

 

 


MEW - The Zookeeper's Boy (Video)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


MEWからメッセージが到着!

 

 

 

 

 

 

 

www.creativeman.co.jp

 

 

 

 

 


f:id:killer_yoshikage:20200202233224j:image