吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

MYSTERY JETS Live in Japan (5/13)




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 昨年11月の『HOSTESS CLUB WEEKENDER』以来の来日公演になった、今回のMYTERY JETSの来日公演。
 昨年の『HOSTESS CLUB WEEKENDER』は、今年1月の発売で当時、未発売だった新作『Curve of the Earth』の全曲再現ライヴというスタイルでの公演になりましたが、今回の単独公演は新作の曲だけでなく、旧作からの曲も楽しめるということで、『HOSTESS CLUB WEEKENDER』に行かれた方も楽しみにしていた公演だと思います。
 私もMELVINSやDAUGHTERが出演した同イベントには参加したものの、観たかったにも関わらず、MYSTERY JETSが出演した日には参加出来なかったのもあって、私にとっても待望の単独公演でした。
 MYSTERY JETSは、2000年代後半に、LARRIKIN LOVEやTHE HOLLOWAYSと共に"テムズ・ビート・バンド"と称され、テムズ川流域から飛び出した、多彩な音楽性を飲み込んだ自由かつポップなサウンドで、当時のUKロック・ファンを魅了しました。しかし現在、テムズ・ビート・バンドと呼ばれたバンドで残っているバンドは、MYSTERY JETSのみ…。
 2006年に発表したデビュー・アルバム『Makin Dence』リリースから、ちょうど10年が経った今年にリリースした新作『Curve of the Earth』はバンド史上最高の傑作と言われる素晴らしいアルバムに仕上がり、10年前のテムズ・ビート・バンドと言われた時代を知らない若い音楽ファンが聴いても充分に魅了出来るだけの成長を遂げたと思います。
 先月にTAME IMPALAとLUST FOR YOUTH、今月27日にはNEW ORDERと立て込んだ日程を組んでしまったために、私自身、JETSの旧作を聴く時間を聴く時間が充分に取れなかったのが残念でしたが、この日の東京は夏並に暑いものの快晴で気持ち良く来日公演の会場のLIQUIDROOMに向かうことが出来ました。
 LIQUIDROOMは2階のフロアに一旦上がってから、公演を待って開場時に下のライヴ会場に入場する変わったライヴ・ハウスです。その2階のフロアで一人寂しくタバコ吹かしながら公演を待っていると、昨年の苗場のフジロックでお会いした、Facebookの友人の市村さんにお声をかけていただきました。
 一人寂しく来日公演を観ることになると思っていたのですが、開演前に音楽の話が出来る市村さんとお会い出来たおかげで、私も非常に気分良く来日公演に望むことが出来て、とても嬉しかったです。
 ついつい私の整理番号の順番が来るのも分からず彼女と話し込んでしまいましたけど(笑)入場すると私は比較的、右寄りの前方の方で待機しました。

 開演時間の19時30分になると、サポート・アクトのシャムキャッツが登場。シャムキャッツは東京出身のバンドで、DEERHOOFMac DeMarcoとも共演経験のあるバンドだそうです。
 基本的にJ-Popな楽曲を主体にしているバンドですが、ファンク・ビートも取り入れたギター・バンドと言えるかもしれません。
 来日公演が行われる際にオープニング・アクトとして起用される日本のバンドの大半は、そのライヴ・ハウスを中心に活動しているバンドが多いですが、このバンドもその例に漏れず、LIQUIDROOMを中心に活動しているバンドです。
 私が1月に観たMETZの来日公演でも、新代田FEVERを中心に活動しているCRYPT CITYがオープニング・アクトとして出演して、素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたりもしましたが、UKロック・ファン主体のMYSTERY JETSのファンの嗜好にはシャムキャッツは残念ながら合わない気がしました…。
 CRYPT CITYの場合は、J-Popのバンドとは一線を画したヘヴィーなサウンドのバンドで、METZのファンが観ても充分に魅力のあるバンドなのですが、シャムキャッツの楽曲やサウンドは少なくとも普段、J-Popを聴かない音楽ファンには受け入れずらいバンドかもしれません。
 私自身はあふりらんぽの単独公演も参加しているので邦楽バンドそのものに偏見がある方ではないと思いますが、あふりらんぽやCRYPT CITYのような下手な洋楽バンドよりも素晴らしいパフォーマンスをやってのける日本のバンドをサポート・アクトに迎えた方がファンは喜ぶと思います。
 例えば、結局、来日延期で実現しませんでしたが、THE JESUS AND MARY CHAINのオープニング・アクトに稟として時雨を起用が決定した時のような…。
 数曲でシャムキャッツのライヴは終了しましたが、サウンド・チェックやら何やらでMYSTERY JETSのライヴが始まったのが20時40分過ぎと、シャムキャッツに興味のない待たされるファンとしては待たされることになってしまうので、もう少し魅力のあるサポート・アクトの起用を考えるか、サポート・アクトを置かない方が良いのでは?…と思ったのは私だけではないはずです…。










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 そして、20時40分過ぎに待ちに待ったMYSTERY JETSが登場。正式メンバーではあるものの父親のヘンリー・ハリソンはライヴには登場しませんが、息子のブレイン・ハリソンが中央のキーボードの位置に座り、私のいるステージ右サイドにギターのウィリアム・リース、ステージ左側には2014年に加入したばかりのベースのジャック・フラナガン、そして、やや左側後方にドラムのカピル・トレヴェティ。
 一曲目は『Curve of the Earth』のオープニング曲でもあるスペイシーな「Telomere」でスタート。宇宙との交信を思わせるリースのアルペジオ・ギターで始まるこの曲はアルバムで聴いても充分、インパクトのある曲ですが、亡きボウイの「Space Oddity」を進化させたスケールの大きさをライヴでも充分、感じさせてくれます。
 デビュー当初は赤髪で若々しいイメージがありましたが、ステージでのブレインは髪をかなり伸ばし、表情もデビュー当初よりも精悍さを増し、カリスマ性を携えた気がします。
 意外にファンの方以外は知らない事実だと思いますが、ブレインは二分脊椎症で体が不自由な身で、当然、ライヴ中は中央の椅子からも動けず、中央の椅子への移動も当然、杖をついての移動です。
 しかし中央に陣取り、キーボードとギターを駆使して歌うブレインから障害を全く感じさせない存在感は、実際に生でMYSTERY JETSのライヴを体験しないと理解出来ないものだと思います。
 ブレインから漂ってくる、ステージ上のオーラや重みは、ブレインが長年背負って来た人生の重みすら感じさせてくれます。
 そして、ブレインの右腕とも言えるのがギタリストのリースで、曲によってはリード・ヴォーカルもこなし、MYSTERY JETSサウンドの重要な要とも言える存在で、ブレインを、そしてバンドを支えます。
 今回のLIQUIDROOMのセットリストの情報は今回、入手出来なかったので掲載出来ないのは残念ですが、最新作の『Curve of the Earth』からの選曲中心ながらも、『Twenty-One』、『Radlands』、『Serotonin』の代表曲を織り交ぜた選曲になっていたと思います。
 私の記憶に間違いがなければ、10周年に当たるはずのデビュー・アルバムの『Makin Dence』の曲はやってくれなかった気がします…。実際に大阪公演でもデビュー・アルバムからの曲はやっていないようですし、海外公演のセットリストにもデビュー・アルバムの曲はありません。
 理由は分かりませんが、デビュー・アルバムから、MYSTERY JETSを聴き始めたファンも多いので残念な気はしますが、それでも違和感を感じさせないのは、最新作の『Curve of the Earth』で大きな成長を見せつけ、さらにスケールの大きいライヴ・パフォーマンスでバンドとしての成長を感じさせてくれたことによるところが大きいと思います。
 日本でも何度か来日公演も行っているので、メンバーの日本語でのMCも板についていましたし(笑)ファンも「Someone Purer」で合唱したりとバンドとファンの相互関係も感じさせてくれて、そのうえで更にスケール・アップしたバンドの実力も加わり、私も充分過ぎるくらいライヴを楽しむことが出来ました。
 ステージにヘンリーお父さんがいないのは残念でしたが(笑)この日のライヴを観る限り、バンドはこれからも大きく成長を遂げて飛躍することでしょう。
 帰りもお会いした市村さんと色々と話し込んで帰宅しましたが、彼女のおかげで私もこの来日公演が凄い楽しいものになりました。
 TAME IMPALAの公演でも、LUST FOR YOUTHの公演でも感じたことですが、音楽の話が出来る仲間がいると、ライヴを観るのも楽しいですし喜びも分かち合えて、思い出にも残りますね。
 市村さん、私にお付き合いいただいた市村さんには深く感謝したいと思います。それから、今月の27日のNEW ORDERの公演もFacebookの友達と楽しむ予定ですので、また思い出深いものになりそうです。








【追加表記 : 2016年5月21日】
MYSTERY JETS Live in japan
(13th May 2016 @LIQUIDROOM Ebisu, Tokyo)


1. Telomere
2. Serotonin
3. Flash a Hungry Smile
4. Midnight's Mirror
5. Blood Red Ballon
6. Half in Love with Elizabeth
7. Spiralling
8. Bombay Blue
9. Bubbllegum
10. Young Love
11. Alice Springs

【Encore】
12. Someone Purer
13. Two Doors Down
14. Flakes





















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