吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

今年最高の再結成作品!!!



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『The Heart is a Monster』
FAILURE




 今年になって、BLURTHE POP GROUP、FAITH NO MORE、そして、THE LIBERTINESと相次いで、注目の"再結成作品"がリリースされましたが、(まだ現時点で、THE LIBERTINESのアルバムは聴けていない状態ですが)私にとっての今年最高の"再結成作品"はダントツで、このアルバムだと思います。
 このアルバムは、FAILUREが昨年、再結成して、今年に7月にリリースした再結成後、初のアルバムです。
 FAILUREというバンドは、1990から1997年の間に、米カリフォルニア州・ロサンゼルスを拠点に活動していたオルタナティヴ・バンドで、この期間中に3枚のアルバムをリリースしました。
 この活動期間を見て分かると思いますが、FAILUREの活動期間の米国の音楽シーンはグランジ隆盛の時代。
 同じオルタナティヴ・バンドであるはずのシアトルのグランジ・バンドは大きく注目されていましたが、LA出身のFAILUREは知名度も低く、オルタナ・シーンから虐げられた形で大きな注目を集めることはありませんでした。
 このバンドには、後にA PERFECT CIRCLEQUEENS OF THE STONE AGEのギタリストとして活躍することになる、トロイ・ヴァン・リーウェンが在籍した時期がありましたが、そのトロイの在籍していた、A PERFECT CIRCLEが、FAILUREの「The Nurse Who Loved Me」をカヴァーしたことで、FAILUREが再評価されるようになり、徐々にバンドの旧譜も評価され始め、昨年の再結成にも繋がっていきました。
 バンドの自主レーベルからの、この再結成作は、1996年の名作『Fantastic Planet』の続編的な作品ですが、再結成作品にも関わらず、全く前作に劣らないポテンシャルを持ったアルバムで、このバンドを愛していた方の期待を裏切らないどころか、むしろ感激を抑えられないはずです。
 たいていの大物バンドの再結成作品は、金をかけて大物プロデューサーを呼んで、完成度の高い作品を仕上げますが、かつてのバンドとしてのケミストリーを取り戻すことが出来ず、結局はバンド解散後に各メンバーがやっていた音楽性を取り入れて、新しいサウンドを模索していく方向に向かいますが、FAILUREは以前とやっているサウンドも方向性も全く変わりません。
 もちろん、FAILUREの各メンバーも1997年に解散してから、個々で自分達のバンドで活動していましたが、とても解散してから長い期間、やっていなかったバンドとは思えないほど、以前のバンドのポテンシャル、ケミストリーを感じさせてくれるのです。
 おそらく、各メンバーがFAILUREというバンドに賭けていた情熱は、他の再結成バンドとは比べられないほど違いがあるのだと思います。
 旧友のトロイも4曲に参加してサポートしていますが、あのスペイシーでラウドなギター・サウンド、ケン・アンドリュースの情感溢れるヴォーカル、ザラザラとした痛みを伴いながらも心に染み入るように響く、あのFAILUREのサウンドを単に再生するのではなく、更に高みに押し上げて、とんでもなく素晴らしいアルバムを完成させたと思います。
 日本では、おそらくかなり知名度の低いバンドだとは思いますが、前述の名作『Fantastic Planet』を聴けば、このバンドの素晴らしさが理解出来るはずです。
 もっとも、この再結成作品だって、他の大物再結成バンドの作品に比べて、決して劣らないアルバムではありますがね。
 昨年のNINE BLACK ALPSの傑作アルバム『Candy for the Crowns』にも共通している点でもありますが、バンドの決して恵まれていない活動状況が、誰よりも素晴らしい作品を作ってやろうという気概を生み出し、それが作品のレベルの高さ、楽曲のストロングな魅力に大きく繋がっているのだと思います。



























 
 












 
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