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吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

『Munki』以来19年ぶり、通算7作目




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『Damaged and Joy』

THE JESUS AND MARY CHAIN

 

 

 

 

 

 

 今月24日に発売されたばかりの、1998年発表の6thアルバム『Munki』以来、19年ぶりのスタジオ・アルバム。 2007年に再結成してからは初のアルバムになります。 このアルバム・タイトルの『Damaged and Joy』は、他人の不幸や失敗を喜ぶことを意味するドイツ語の"schadenfreude"から取られているそうです。 ドイツ語の直接の意味合いで捉えると、とてつもなくブラックなリード兄弟の感性が見え隠れして来ますが (苦笑)、『Damaged and Joy』という英語のタイトルでそのまま捉えれば、ノイジーなギター・サウンドとノスタルジックなポップ・サウンドの両面を併せ持った、ジザメリの音楽性そのものを象徴しているようなタイトルと解釈することも出来るはずです。 本作のプロデュースを担当したのは、KILLING JOKEのベーシストでもあるマーティン・グローヴァーことユース。 ユースはTHE VERVEからTHE CHARLATANS、EMBRACE、そしてポール・マッカートニーとユース自身のユニット、THE FIREMAN等、数多くのアーティストのアルバムを手掛けた売れっ子プロデューサーの一人です。 ノイジーなギター・サウンドながらポップさを擁したジザメリの特性を生かすうえで、ポップからオルタナまであらゆるタイプのバンドを手掛けてきたユースをプロデューサーに選んだのは正解と言えるかもしれません。 既にアルバムを購入された方も多いと思いますし、またアルバムを購入していなくても、YouTube等のネットで「Amputation」、「Always Sad」をお聴きになった方(ちなみにこのブログの下部にもこの2曲のMVのリンクを貼っています)、あるいはレコ屋で試聴された方もいらっしゃると思いますが、以前と変わらないノイジーかつノスタルジックで甘いポップネスを兼備した、いわゆるジザメリ節全開の楽曲に感激した方も多いんじゃないでしょうか? 現在の世界中の音楽シーンの状況を見据えて、斬新なエレクロニクス・サウンドを導入して、ポップなジザメリの楽曲をハイファイにヴァージョン・アップするという手段は敢えて取らず、古典的なジザメリ・サウンドで真っ向勝負に出たのはユースの英断でもあり、その手法こそが現在のジザメリにとっても最高のものという考えてのものだと思います。 普遍的なジザメリ節が聴ける新作ではありますが以前と違う点を挙げると、女性ヴォーカリストの参加の多さにあると思います。 今までの音楽経歴が不詳のブルナデッタ・デニングが「Always Sad」に参加しているのを始め、元BELLE SND SEBASTIANのイザベラ・キャンベルが「Song for a Secret」と「The Two of Us」に、リード兄弟の妹のリンダ・フォックスが「Los Feliz (Blues and Greens)」と「Can't Stop the Rock」に、そしてスカイ・フェレイラが「Black and Blues」にそれぞれ参加しています。 もちろんジザメリの女性ヴォーカリストの起用は本作が初めてではなく、MAZZY STARのヴォーカリストでウィリアム・リードの恋人でもあったホープ・サンドヴァルが、『Stoned & Dethroned』収録の「Sometime Always」と、『Munki』収録の「Perfume」に参加していましたし、リンダ・フォックスもシスター・ヴァニラ名義で『Munki』収録の「Moe Tucker」に参加していました。 しかし、あくまでホープ・サンドヴァルとリンダ・フォックスがリード兄弟と近しい関係であることを考えると、以前の二人の起用は決して大胆な女性ヴォーカリストをフューチャーした感もそれほどなかったはずです。 そもそものジザメリのサウンドの根源にフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドがあり、ノスタルジックで甘いジザメリのメロディーと女性ヴォーカルの相性の良さをホープ・サンドヴァルやシスター・ヴァニラ(リンダ・フォックス)との共演で見出だしたのかもしれません。 イザベラ・キャンベルもBELLE AND SEBASTIAN脱退後はマーク・ラネガン(元SCREAMING TREES/QUEENS OF THE STONE AGE)とのコラボ・アルバムをリリースしていて男性ヴォーカリストとのデュエットでも素晴らしい歌声を聴かせていましたが、イザベラが参加している2曲でもジザメリとの相性は抜群で見事に期待に応えています。 スカイ・フェレイラは昨年、PRIMAL SCREAMのシングル「Where the Light Gets In」でボビー・ギレスピーとデュエットしたのを記憶されている方も少なくないと思いますが、本作の「Black and Blues」でもリード兄弟と堂々と渡り合う彼女らしいヴォーカルを披露しています。 新しいサウンドを取り入れずに敢えて、古典的なジザメリ・サウンドに立ち帰ったことで、ジザメリが後のグランジオルタナ、シュゲイザーに与えた影響が今更ながら浮き彫りになりましたし、また、このバンドの根源がフィル・スペクター・サウンドにあることを改めて認識もしましたし、バンドの今までの歴史を総括しながらも後の世代への影響力を認識させる、そういう作品になったんじゃないかと思います。 次にアルバムを出した時にサウンドがどう変化しているかは分かりませんが、例え、大胆にサウンドが変化してもジザメリ流の甘いポップネスは永遠に不滅だと思います。 古典的なジザメリ・サウンドではありますが、このアルバムが新しいジザメリの第一歩。 2007年に再結成してから10年経って、ようやく踏み出した第一歩です…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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