吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

更なる進化を遂げた3作目




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『I See You』

The xx

 

 

 

 

 

 英ロンドン出身のインディー・ポップ・バンド、The xxが今月13日にリリースしたばかりの3rdアルバム。 2015年にはメンバーのジェイミー・スミスこと、ジェイミーxxがソロ・アルバム『In Colour』をリリースしましたが、バンドとしては2012年にリリースし、UKを含む5ヶ国でアルバム・チャート1位に輝いた2ndアルバム『Coxist』以来、5年ぶりの作品になります。

 大方、世界中の音楽メディアの評価で予想出来ないことではなかったですが、本作の祝祭的な雰囲気に満ちたオープンで晴れやかな作風に、デビュー当初からThe xxを愛聴されていた方は戸惑いを覚えたかもしれません。 初期の彼等は、英国内では"Night Bus Music"とも表現された夜の静けさが似合うメランコリックな曲調と、音数を極端に絞って空間を最大限に生かした演奏、そしてロミー・マドリー・クロフトとオリヴァー・シムのボソボソと囁き合うようなヴォーカルと、暗いモノクロームな印象が付き纏っていましたが、本作はそのモノクロームな印象を覆すカラフルなイメージを持った作品と言えるかもしれません。 しかしジェイミーxxのソロ・アルバム『In Colour』の地続きとして、この作品を捉えるとこの変化はむしろ自然なものと言えると思います。 『In Colour』にはロミーとオリヴァーも参加していますが、ジェイミーがDJ/リミキサーとしての経験をダイレクトに生かした作品で、ダブステップ、UKガラージアンビエントからレゲエまで様々な音楽を飲み込んだ、先鋭的な作品で世界中の音楽メディアに高い評価を受けました。 また『In Colour』はトラックメイカーとしてのジェイミーの才能を遺憾なく発揮した作品でもありますが、本作では、そのジェイミーのソロ・アルバムでのトラックメイカーとしての才能をバンドの作品にフィードバックしたものとも言えるかもしれません。 元々、The xxはロミーとオリヴァーによって結成されたバンドで、後から加入したジェイミーは初期2作品では二人のヴォーカルを生かす黒子に徹していた感もあるように感じましたが、ジェイミーのソロ・アルバムで三人が共演し、更にそのソロ・アルバムが成功を収め、ジェイミーがプロデューサーとしても引く手数多になったことで、本作ではジェイミーのプロデューサー/トラックメイカーとしての手腕を存分に活かした音作りになったのだと思います。 祝祭感を感じるベースのビートが心地好いアルバム1曲目の「Dangerous」、まるでOF MONSTERS OF MENのような男女ヴォーカルの掛け合いが聴ける「Say Something Loving」と、初っ端から過去2作品との違いを感じさせますが、ロミーとオリヴァーもこのサウンドの変化に負けないくらい、生き生きと歌い上げて、ボソボソと囁き合うように歌っていた過去とは違った二人の"歌"そのものを前面に押し出した作品になったと思います。 どんより曇った空に注いだ暖かい日差しのようなアルバムでもありますが、ジェイミーがソロ・アルバムでやった自由度の高いサウンドを、The xxにフィードバックした作品でもあります。 私は昨年のThe xxの来日公演は、MARCHING CHURCHの来日公演と同日なので断念しましたが、新たなステージに立ったバンドのライヴを機会あったら体験したいものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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