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吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

元MANSUNのポール・ドレイパーの初ソロEP




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『EP ONE』

Paul Draper

 

 

 元MANSUNのフロントマン、ポール・ドレイパーが今年6月にリリースした初ソロEPで、ポールの公式な音源としては2004年にリリースされた、MANSUNの未発表曲集『Kleptomania』以来。 MANSUNの実質的なラスト・アルバムの3rdアルバム『Little Kix』(2000年)からですと実に16年ぶり…。 ちなみに、このEPは6月17日付けの全英12インチ・シングル・チャートで見事、1位を獲得し、「Official Vinyl Single Chart」と「Official Physical Singles  Chart」でもそれぞれ2位を獲得し、MANSUNが2003年に解散してから10年以上が経過した現在のポール・ドレイパーへの期待の高さがうかがえます。 

 2014年8月にMANSUNの地元でもあるチェスターで、MANSUNのコンヴェンションが行われ、このEPの音源が公開されたそうですが、ポールはそのコンヴェンションで次のように語っていました。

MANSUN解散後は『Spooky Action』と題したソロ・アルバムのレコーディングを元々、計画していたんだ。 でも当時は個人的な面で音楽を作れるような状況じゃなかったんで棚上げすることにしたんだ。 しかしレコーディング・セッションが凄く良くて、二度目のレコーディング・セッションをやることに決めたんだ。 僕が一緒にやっている新しいバンドと共にアルバム全体を演奏するのが大好きなんだ。」

 また新曲の歌詞についても触れ「歌詞については暗い境遇にいる時のことを書いたんだ。 これまでの中でも最悪な状況にいる時のことをね…。 でも現在は良い状況にあるんだ。 最終的に非常に暗い言葉を歌っているから自分が歌っているのを聴くのが怖いんだけどね。 それはちょっとソロ・アルバムをリリースする僕にとって、多くの憶測を生んで、聴くことを躊躇させるかもね。」と、彼が最も辛い時期に書かれた曲であったことも明かしていますが、このEPはMANSUN活動時からポールを愛してきたファンが10年以上待ち続けた楽しみな音源なのには間違いないありません。

 この4曲入りEPはポール・ドレイパー自らがプロデュースし、3曲目の「The Silence is Deafening」のみ、THE ANCHORESSの女性ヴォーカリスト、キャサリーン・アン・デイヴィスとの共作で、それ以外の曲はもちろんポールによって書かれた曲です。 このEPでポールとバンドを組んでいるのはベーシストのベン・スタックと、ドラマーのジョン・バーネットですが、前述のキャサリーン・アン・デイヴィスがコーラスでEPを全面担当するだけでなく、2曲(M-2、3)でシンセサイザーを担当し、2曲(M-1、3)でエンジニアとしてクレジットされる等、ポールのEPを全面サポートしています。 近年のポールの活動を行っている方のほとんどはご存知のことですが、ポールが2014年にキャサリーンのTHE ANCHORESSの楽曲「What Goes Around」をプロデュースして以来、ポールとキャサリーンは密接な関係にあり、自分のバンドを惜しみなくサポートしてくれたポールの為に、キャサリーンも当然のように全面協力しています。 そして、もう一人の注目のゲストは、プログレッシブ・ロック・バンド、PORCUPINE TREEのメンバーでもあるマルチ・インストゥルメンタリストのスティーヴン・ウィルソンの参加で、彼は2曲目の「No Ideas」でギター、ムーグ、シンセサイザー、アコースティック・ギター等を弾いており、ピアノで始まるサイケデリック風味の曲で、プログレだけでなくモダン・ロックでも真価を発揮出来る、いかにもウィルソンらしい演奏を披露しています。 私はウィルソンがどういう経緯でこのEPに参加したかは詳しく分かりませんが、このポールのEPをリリースしている「Kscope Records」は、奇しくもウィルソンのソロや、彼自身のバンドのPORCUPINE TREE、BLACKFIELD、NO-MANのアルバムもリリースしているプログレ・レーベルで、このEPが「Kscope Records」からリリースするのが決定した時点で、同じレーベル・メイトとして以前から繋がりがあったのは間違いないことでしょう。

 EPの1曲目の「Feeling My Heart Run Slow」のイントロのヘヴィーなギターには驚かされますが、ポールがこのEPの内容を「一部エレクトロニックで、一部ロック。」と語っている通り、ロックもニューウェーヴもエレクトロニックも取り入れた作品に仕上がっています。 それでも根底にあるのはポールのルーツにあるデヴィッド・ボウイやMAGAZINEに共通する美意識を感じさせる楽曲にあり、あのMANSUNの世界観そのものと断言してしまっても、一向に差し支えないと思います。 歌詞はダークでも決してロマンチシズムは失わず、特にエレクトロニック・サウンドには深くMANSUNの美学を感じとるに違いありません。 10年以上待たされたEPはこれからのポールの活躍を充分に期待するに相応しい作品に仕上がったと思います。 この先、もう一枚のEP『EP TWO』のリリースもあるそうで、その後には初のソロ・アルバム『Spooky Action』のリリースもそう遠い日ではないと思います。 そして、ソロ・アルバムをリリースした暁には待望の来日公演を、日本の熱いMANSUNファンのために実現させて欲しいものです。

 


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