個人的にサマソニで観られなくて残念でしたが…
『Blossoms』
BLOSSOMS
今年の『SUMMER SONIC 2016』、そして今月23日の[Alexandros]との対バンで『SUMMER SONIC EXTRA』(新木場STUDIO COAST)にも出演したバンド、BLOSSOMSが今月5日にリリースしたデビュー・アルバムです。 BLOSSOMSは2013年に結成された、英マンチェスター南部のストックポート出身の5ピース・バンドで、2015年には日本のみ発売のEP『Extendeadly Played』もリリースされて来日公演も行っています。 「MTV Brand New」、「iTunesApple Music New Artists」にも選出され、有望新人アーティストの指標と言われている「BBC Sound of 2016」では4位にランクインして、UK音楽シーンの次世代を担うバンドの一つとして注目されていましたが、デビュー・アルバムの本作が見事、UKアルバム・チャートの1位を獲得して、これからの活動に目が離せないUKバンドになってくると思います。
THE STONE ROSESやOASISと言ったマンチェスターの大先輩達に憧れ、"偉大なポップ・バンドになりたい"という、この夢多き5人の若者達はその夢を叶えるために自費でシングル「You Pulled a Gun on Me」を2014年1月にリリース。 その後、バンドはTHE CORALのジェームズ・スケリーの目に止まり、スケリー主宰のレーベル「Skelton Key Records」と契約し、2014年春にデビューEP『Bloom』をリリース。 その後、2015年に『Blown Rose』『Charlemagne』そして前述の日本盤EP『Extendeadly Played』と、EPを立て続けにリリースし、2016年にも『A Most a Kiss』をリリースして、遂にこのデビュー・アルバムでUKアルバム・チャート1位を獲得する快挙を成し遂げました。
デビュー・アルバム・リリース前から、DEPECHE MODEやTHE DOORS、ARCTIC MONKEYS辺りと比較されてきましたが、サイケデリックやエレクトリック・ポップ、インディー・ロックを行き交うポップなサウンドが彼等の持ち味と言って良いと思います。 本作のプロデュースを務めるのは彼等の最も良き理解者で、デビューEP『Bloom』のプロデューサーでもあった、THE CORALのジェームズ・スケリーと、CLEAN OUT KID、VITAMIN、SHE DREW THE GUN等のプロデュースを務めてきたリヴァプールのプロデューサー、リッチ・ターヴィーの二人によって手掛けられました。 このアルバムには確かに彼等が憧れるOASIS、THE STONE ROSESに加え、NEW ORDERと言ったマンチェスターの大先輩のポップネスが脈々と受け継がれています。 このアルバムには目新しいサウンドそのものはありませんが、その代わりに珠玉のポップ・ソングがアルバムを埋め尽くされています。 最高のポップ・サウンドが奇のてらった目新しいサウンドよりも魅力に感じるのは英国人の常で、UKアルバム・チャート1位を獲得したのがそれを物語っていると思います。 スケリーとターヴィーの二人が楽曲ありきで必要以上に音を厚くしなかったことも功を奏して、マンチェスターの人間だけでなく、英国人の感性で響く作品になったのだと思います。 マンチェスター人脈でマッドチェスター的なアルバムを制作するのもアリだったかもしれませんが、普遍的な楽曲を重視するリヴァプール人二人の起用が、シンプルで普遍的なポップ・アルバムを生み出したと言っても良いと思います。
私も『SUMMER SONIC 2016』のブログで書きましたが、実はこのバンドが観たいにも関わらず、『HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER』から続く過酷な日程のためにBLOSSOMS出演時を仮眠にあててしまい、残念ながら彼等のライヴ・パフォーマンスを観ることが出来なかったわけですが、きっと、この日に観られた方はBLOSSOMSの珠玉のポップ・ワールドに酔いしれたことでしょう。 私もいつか、彼等の来日公演で酔いしれたいと思いますが、それまではこの最高のポップ・アルバムをひたすら聴き倒そうと思います。