吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

SUEDEの美意識を継承したニューヨーク発のバンド




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『On Desire』

DROWNERS

 

 

 

 

 2011年に結成された、米ニューヨークを拠点に活動している4ピース・バンド、DROWNERSが6月にリリースした2ndアルバムです。

 南ウェールズ出身のフロントマン、マシュー・ヒットはニューヨークに上京して、バーモント州でギターの講師を務めた後、GUCCIやDries Van Notten、Alexander McQueen等のモデルを務めた経験もあります。 そのマシュー・ヒットがジャック・リドリー(G)、エリック・リー・スナイダー(B)、ダニエル・ジェイコブズ(Dr)と結成したのが、このDROWNERSです。

 2013年には、元KAISER CHIEFSのメンバーでもある、ニック・ホジソンのレーベル「Birthday Records」からEP『Between Us Girl』をリリース。ニック・ホジソンはDROWNERSをツイッターで見つけて、バンドのライヴを観て気に入り、いち早くバンドと契約したそうですが、ニック・ホジソンがバンドを見出だしたことで、このバンドの歴史が始まったと言っても過言ではないでしょう。

 そして地元ニューヨークのインディー・レーベル「Frenchkiss Records」から、2014年にセルフ・タイトルのデビュー・アルバムを2014年にリリース。元々、このバンドの由来は、SUEDEのデビュー・シングル「The Drowners」からきているものなのですが、EPとデビュー・アルバムで聴けるサウンドは、SUEDEの曲名から取ったとはとても思えない、ガレージ・サウンドTHE STROKESTHE LIBERTINESに近い…と、言うより、ほとんどTHE STROKESTHE LIBERTINESそのもののガレージ・サウンドと言っても良いかもしれません。 この当時のマシュー・ヒットのヴォーカルも、カール・バラー(THE LIBERTINES)やジュリアン・カサブランカス(THE STROKES)に近い感じがしたので、よけいにTHE STROKESTHE LIBERTINESのフォロワー・バンドという印象を強く感じてしまうのも致し方ないところだったのだと思います。

 しかし、6月にリリースされたばかりのこの作品ではSUEDEの曲名を冠したバンド名に相応しい、強い美意識を感じることが出来る、憂いのあるメロディーを中心にした王道ロック路線を感じることが出来ます。SUEDEよりはむしろ、CATFISH AND THE BOTTLEMENの世界観に近いような気が私にはします。愛の苦悩を歌うマシュー・ヒットの世界観と、同じく愛を歌うストーリーテラーのヴァン・マッキャン(CATFISH AND THE BOTTLEMEN)は不思議とリンクする気がします。

 元々、マシュー・ヒットが影響を受けたアーティストとして、SUEDETHE CLASH、THE BUZZCOCKSTHE CURE、Jarvis Cockerを挙げているのですが、挙げられたアーティストを見ていただければ分かる通り、彼の影響源は基本的にパンク/ポスト・パンク系が中心です。モデルを務めていた経験もあってマシュー・ヒットにファッション・リーダー的なイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、彼自身は革ジャンやTシャツを愛用する根っからのパンク好きです。SUEDEの曲名を冠しているバンド名の為に、初期のEPやデビュー・アルバムのガレージ・サウンドに違和感を持たれる方も多いのですが、パンク好きのマシュー・ヒットにとってガレージ・サウンドを好むのも至極、当然と言えるのかもしれません。しかし、直情ガレージ・サウンドが取り柄だけのバンドではないことをアピールしたのが、このアルバムと言えるかもしれません。

 憂いを含んだメロディーを擁しながらもしっかりとロックの躍動感も携えた本作ですが、マシュー・ヒットの影響されている音楽から予想すると次作以降、まだまだ、色々な音楽性を携えている気がします。愛の苦悩を歌うマシュー・ヒットの美意識が今後、どんな音楽を紡ぐのか?…、むしろ、これから先の活動が楽しみなバンドと言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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