吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

NEW ORDER Live in Japan (5/27)




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 単独来日公演としては実に1987年以来、29年ぶり。フェス出演も含めれば、2012年の『SUMMER SONIC 2012』以来、4年ぶりの今回のNEW ORDERの単独来日公演。
 単独公演ということを考えれば、かなり待たされた来日公演のように感じますが、今回の来日公演まで何度かフェス出演で来日していますし、今回の来日公演のメンバーも『SUMMER SONIC 2012』の時と同じメンバーということを考えると、少し、新鮮味には欠けるのかもしれません。
 しかし、昨年に2005年の『Waiting for the Sirens' Call』以来、実に10年ぶりの新作『Music Complete』をリリースした後の来日公演という意味では、2012年のサマソニ出演時よりも魅力的な来日公演だったと思います。
 私自身、5月25日の来日公演が発表された際、モタモタしているうちに完売になってしまい、ようやくこの5月27日の追加公演のチケットをゲットして参加しましたが、ピーター・フックが脱退したとは言え、相変わらず、根強い人気を誇っていると痛感しました。
 当日、東京は雨が降っていましたが、私が16時30分位に新木場に到着する頃には、雨もすっかり止み、雨の中で開場を待たされる最悪の事態だけは避けることが出来ました。
 17時30分に開場予定でしたが、20~30分くらい遅れての開場になりドリンクを買って、スタジオ・コーストに入ると前方の方はかなり埋まっていて、仕方なくフロア中央辺りで開演を待つことにしました。
 フロアに入ると、オープニング・アクトの石野卓球がステージ左側のDJブースで曲を回し始めていて、その近辺で踊っている人も少なからずいました。
 通常のバンドをオープニング・アクトに置くと機材を一旦、片付けて、サウンド・チェックを行うので、その間に待たされる時間が苦痛に感じるものですが、卓球のようにDJブースを設けてプレイしてもらうと、そういう無駄な時間が省けて、メイン・アクトのバンドを楽しめるものです。
 それに、このスタジオ・コーストのフロア対応のサウンドの音響がとても良く、まるでクラブにいるような錯覚に陥るような感覚になるので、この会場はフロア対応のテクノ系アーティストのライヴには適しているかもしれません。
 私もついつい、いつものライヴ参戦のクセでフロア中央まで来てしまいましたが (苦笑)、実は会う約束をしていた、遅れて来たFacebookの友達のOhkiさんとフロアが満杯で合流出来なくなってしまい、ライヴ終了後にお会いする約束をしました (汗)。
 そして、ほぼ定刻通りの19時30分くらいに卓球のプレイが終了したと同時に会場が暗闇に包まれ、バンドが登場するステージのモニターにプールに飛び込むスイマーの映像が映し出されると、待ってました!とばかりに会場が大歓声に包まれました。



 この日の公演のオープニングは新作『Music Complete』に収録されている「Sigularity」で、アルバムではアッパーなテクノ・チューンで公演の最初に持ってくるには申し分のない曲。しかし、バーニーがギターを持って歌っているせいか、このテクノ・チューンが私には意外にも、このライヴではギター・ロックとして鳴っているように聞こえました
 そして、事実上のJOY DIVISIONのラスト・ソングをNEW ORDERとしてレコーディングしたデビュー曲「Ceremony」、新作からの「Academic」と選曲の時代はめちゃくちゃ飛ぶのですが、この後の「Crystal」までギター・ロックとして聴かせる流れは非常に絶妙で、「Sigularity」がギター・ロックとして鳴っていたのも自然の流れだったのかもしれません。
 フッキー不在の影響を感じることがあるのは否定しませんが、バーニーの右横で黙ってキーボードを弾いているジリアン・ギルバートの存在感はとても大きく、彼女が特にサウンド作りに貢献していなくても、この人がいるとNEW ORDERだというイメージを観客に与えられる現在のバンドにとって欠かせない存在だということを痛感させられます。
 そして、スティーヴン・モリスのドラムもポスト・パンク史に残る屈指のプレイを見せて、フッキーのベースがなくても、スティーヴンのドラムさえあればNEW ORDERだ!って思わせるほどの卓越した技術を見せつけてくれました。
 下のセット・リスト(↓)をご覧いただくと分かると思いますが、今回の公演の中で新作『Music Complete』の曲は6曲と実に多く、今回のツアーの重要な核になっているのが理解出来ると思います。
 先程も述べましたが、このスタジオ・コーストはフロア系テクノ・サウンドが最も響きやすい会場なので、『Music Complete』の楽曲を含めフロア系チューンの多いNEW ORDERの来日公演に、この会場を主催者側が選んだのは大正解だったと思います。
 もちろん『Music Complete』だけでなく、NEW ORDERファンが一番親しんでいるであろうベスト盤『Substance 1987』に収録されてもいる、ファンにはお馴染みの数々のアンセム・チューンが多かったことも会場をおおいに盛り上げたと思います。
 アンセム・チューンのいくつかではファンも一緒に熱唱し、特に「Temptation」の大合唱は、スタジアムでバンドの演奏を見ているかのような錯覚すら感じさせる、バンドのスケールの大きさを感じさせました。
 こんなスケール感を持ったバンドをスタジオ・コーストのハコで観られたわけですから、この日にご覧になることが出来たファンは本当に好運だったと思います。
 それから、25日の公演でやらなかった『Power, Corruptio & Lies』収録曲の「586」を聴けたことも、この日に観たファンにとっても嬉しかったはずです。この曲はファンの間ではアルバムの中で最も人気の高い曲の一つで、まさかやるとは思っていなかった方も少なくなかったはずですし、私も好きだった曲なので嬉し過ぎるサプライズでした。
 そして、アンコールに入ると、JOY DIVISIONの「Atomosphere」で始まりましたが、この曲もまた、25日の公演ではやらなかった曲で、この日の日の嬉しいサプライズ。
 「Atomosphere」は、バーニーがJOY DIVISIONのナンバーの中で最も気に入っていると語ったこともあるナンバーで、フッキー不在の現在のバーニー主体のNEW ORDERがやるにはうってつけの曲と言えるかもしれません。
 そして、もちろん、JOY DIVISIONの名曲中の名曲「Love Will Tear Us Apart」も当然のように披露。熱心なJOY DIVISIONファンでなくても知っている曲ですが、時折、モニターに映し出されるイアン・カーティスの写真、そしてサマソニでも映し出された「Forever JOY DIVISION」の文字…。
 しかし本人達は変に感傷的になり過ぎないように淡々と演奏していた印象すらあり、むしろ、それが好印象になった気がします。
 私も大のJOY DIVISIONファンですが、あくまで現在のNEW ORDERとして静かに、イアンの死を悼むアレンジが、私を含むJOY DIVISIONファンの心に響いたはずです。
 そして、ラストはNEW ORDER最大のアンセム・ソングにして最高のフロア・チューンの「Blue Monday」。もちろん、この曲やらなきゃ話にならないと言えるほどのファンの心のアンセムですが、私も興奮していて、この曲の演奏の出来がどうとか、よく覚えていません(笑)
 例えば、昨年のポール・ウェラーの来日公演のラストで「Town Called Malice」を聴いた時のような感動があるのですが、やはり、どんなアーティストでも最大のアンセム・ソングを最後に絶対にやってもらえれば、最後に最高に幸せな気分で帰宅出来るってことです。
 ちょっと会場の中が暑く感じて、私も最後はヘトヘトでしたが、2時間みっちりやってくれて非常に大満足の来日公演でした。
 そして、最後には先程、私の不手際でお会い出来なかったOhkiさんと会って、帰りに色々な音楽の話等をしながら、二人でライヴの余韻に浸りながら帰宅しました。
 今回もTAME IMPALA、MYSTERY JETSの公演に引き続き、Facebookの友達とライヴを楽しめたのも嬉しかったですね~。
 とりあえず、次回のライヴ参戦の予定等は決めていませんが、また友達の皆さんと楽しい一時をお過ごし出来ればと願っています。


 
 












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NEW ORDER Live in Japan Setlist
Friday 27th May
(@Studio Coast Shinkiba, Tokyo)




1. Singularity
2. Ceremony
3. Academic
4. Crystal
5. 586
6. Restless
7. The Game
8. Your Silent Face
9. Tutti Frutti
10. Bizarre Love Triangle
11. Waiting for the Sirens' Call
12. Plastic
13. The Perfect Kiss
14. True Faith
15. Temptation

【Encore】

16. Atomosphere
17. Love Will Tear Us Apart
18. Blue Monday





















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