吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

あふりらんぽ Live at O-nest (3/25)




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 2000年代中盤にSONIC YOUTHのサーストン・ムーアに高く評価され、邦ロック・ファンのみならず、(一部ではありますが)当時の洋楽オルタナ・ファンにも高く評価されていたあふりらんぽ
 2010年に解散して私を含め、結局、彼女達の生ライヴを体験出来ずに終わってしまい、悲しみに暮れたファンも多かったはずですが、今年になって歓喜の突然の再結成。
 私が行った25日の再結成ライヴもかつて、あふりらんぽを好きだったファンはもちろん、私のように再結成してから初めて観るファン、そして彼女達の海外での評価の高さもあって外国人のファン等、老若男女、幅広い世代のファンの方で会場のTSUTAYA O-nestは満杯になりました。
 私もO-nestのあるO-WESTのビルの向かい側にあるO-EASTは何度かライヴ参戦のために足を運びましたが、O-nestでのライヴは全く初めて。キャパ的には下北沢ガーデンとか原宿アストロホールとほぼ同じくらいだと思いますが、ステージが非常に低く造られていて、アーティストとオーディエンスの距離感がメチャクチャ近いのも大きな魅力です。
 私はドリンク片手に入場して、PIKAのドラム・セット近くのほぼ最前列に陣取りました。
 超低いステージのせいか、私のかなり眼前にPIKAのドラム・セットがあるのですが、頻繁に観客席に踊り出てファンとコミュニケーションを取るあふりらんぽのステージに、O-nestという会場はピッタリなんだと思います。
 20時開始の定刻を20分…ステージに登場するのを今か?今か?と待ち侘びていると、何と二人が登場したのは観客席の真後ろ!
 二人は平安時代の女性が纏っているような(?)、装束を身に付けて怪し気な踊りをしながら入場。帰って来た喜びに満ちた二人の姿は明るさと共に美しさも感じさせてくれて、明るいキャラクターももちろん魅力ですが、この摩訶不思議なヴィジュアルの美しさもあふりらんぽの魅力の一つと言えるかもしれません。








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 そして、この日のライヴのオープニングは『WE ARE UCHU NO KO』(2010年発表)に収録されているハードロック色の濃いナンバー「ミラクルラッキーガールズ」でスタート。YouTubeでもMVが公開されている曲なので、あふりらんぽをあまり知らない方でも聴いたことがある曲かもしれませんが、生ライヴでこの曲を聴いただけで、あふりらんぽの本当の実力を思い知らされました。
 この後、たっぷり書きますが(笑)あふりらんぽのライヴの魅力はファンとの天真爛漫なコミュニケーションにもあるのですが、ハードなナンバーの一曲目からあふりらんぽのライヴに期待を抱かせるには充分インパクトはあったと思います。
 そして、2曲目の「あかんこのまま帰さない」の前に、いきなりPIKAが私の頬にハンド・マイクを突きつけて「帰らへん」(だったかな?)とか言わせて、PIKAの目の前にいるファンも同じようにPIKAのハンド・マイクで同じようにファンに「帰らへん」とか言わせていましたが、ONIの目の前にいる日本語が得意じゃない外国人の観客にも同じようにイジって(笑)和んだ時間を作って、「あかんこのまま帰さない」がスタート。
 この後、私も、ONIにグー・パンチを喰らったり(笑)しばし観客席に出て、コミュニケーションと笑いを取って、音楽以外でも楽しめるライヴになったと思います。
 ファンを座らせて、動物の泣き声をファンに発させていたかと思うと、太った二人の中年男性をステージにあげイジってみたり(笑)笑いの聖地(?)大阪出身のバンドらしいユニークな側面は、このライヴを生で体験しないと伝わりづらい部分ではあります。
 もちろん、そうした笑いの部分もあふりらんぽの魅力に違いありませんが、SONIC YOUTHのヨーロッパ・ツアーのオープニング・アクトも務めた彼女達のオルタナ・バンドとしての技量・実力はかなりのもので、並の今時の欧米のオルタナ・バンドよりも実力は上回っているかもしれません。
 おそらく、あふりらんぽのルーツはグランジに影響を受けたものだと思われますが、笑いの部分に囚われずに彼女達の技量も高く評価しなければいけません。
 歌詞には彼女達の天然ぶりが垣間見えますが、二人だけで築き上げているとは思えない強力なノイズの磁場は、下を向いてエフェクターをいじっているシュゲイザー・バンドには絶対出せない迫力を感じさせてくれます。
 PIKAのドラムはタイトにリズムをキープしていたかと思うと一気に加速して、現世から涅槃へでも突入するかのようにと高揚感を高め、ONIもドラム・スティックを使ってのプレーやダブル・ハンドのタッピング・プレーとギタリストとしての技量の高さを見せつけ実力派バンドとしての威厳もしっかり見せつけてくれたと思います。
 そして、(どの曲の時か忘れましたが)ONIもドラム・スティックを持ち、ツインでドラムを叩くシーンもあり、本格的なライヴ・バンドとしての見せ場を各プレーでしっかり見せつけてくれました。
 そして、アンコールになると二人はステージ裏からお祝いの花束を持ちだし、スターウォーズのダース・ベイダーのテーマを歌いながら、花束を一部のファンに配り歩いていました(笑)
 アンコールの一曲目はオルタナ・ナンバーとは全く違う新曲と思われるダンス・ポップ・ナンバーで、PIKAもスティックを手放し二人で踊りながらヴォーカルを取るナンバー。この手のダンス・ポップ・ナンバーは二人のソロ作品で聴くことが出来ましたが、これからの二人の音楽活動の新しい路線とも言えるものになるのかもしれません。
 しかし、締めはやはりあふりらんぽらしいオルタナ・ナンバーで「アートブレイコー」と「あふりらんぽ」でファンにはもちろん人気の高い曲。もちろん最高の盛り上がりを見せてくれました。
 ONIがアンコールのMCで「生きてて良かった」とこの再結成の喜びを涙で語ってくれた時は、私も思わずもらい泣きしたくなるほど嬉しかったです。
 2010年の解散の経緯はよく分かりませんが、本人達も断腸の思いでの解散だったのかもしれません。ONIの「生きてて良かった」という言葉は決して大袈裟なものではなく、何よりもバンド活動を出来る喜び、そしてファンと直に触れ合う喜びを感じたのだと思います。
 きっと、時を経てもあふりらんぽのことを忘れるどころか、再結成を心から歓迎してくれた我々、ファンの気持ちを二人が受け止めてくれただけでも私は嬉しいです。
 終焉後も二人はステージ外のBARでファンに感謝の気持ちを伝えに来てくれ、ファンを大切にしてくれる彼女達の姿勢には本当に頭が下がる思いです。












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