吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

『K』デビューから20年…



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『K 2.0』







 今月リリースされたばかりのKULA SHAKERの新作で、アルバム・タイトルは、KULA SHAKERが1996年に発表したデビュー・アルバム『K』リリースから、ちょうど20年を意味するものになっています。
 ブリット・ポップ旋風が吹き荒れる1990年代の半ばに、東洋神秘主義思想を強く反映したインド風ラーガ・ロックと60年代のサイケデリック・ロックの影響を感じさせるサウンドで、独自のスタンスを築いたデビュー・アルバム『K』のインパクトは英国内はもちろん、日本でも大きかったと思います。
 バンドは1999年に解散するものの、2004年の再結成。英国内での再結成後の人気はすっかり落ちたものの、日本では未だに高い人気を誇っているバンドです。
 2004年再結成後に、『Strange Folk』(2007年)、『Pilgrims Progress』(2010年)という2枚のアルバムをリリースしますが、いずれもインド・テイストのラーガ・ロック色は以前に比べて、かなり減退していますが、本作発売前に発表された新曲「Infinite Sun」は原点回帰とも言えるラーガ・ロック色濃厚な曲で、『K』20周年記念とも言えるこの作品に、あの『K』のサウンドを期待したファンも多いかもしれません。
 しかし、『K』20周年のこの新作は安直な原点回帰の作品には全くなっていません。ボブ・ディランやニール・ヤング直系のフォーク・サウンドや米国のウェスト・コースト・サイケデリックが、このアルバムのサウンドの主体になっています。
 元々、KULA SHAKER解散後にクリピアン・ミルズは、THE JEEVASでストレートなアメリカン・ルーツ・ミュージックを取り入れていましたが、以降、クリピアンにとって、インド音楽以上にアメリカン・ルーツ・ミュージックは重要なものになっていましたが、本作もTHE JEEVAS以降のサウンドを引き継いだものになっています。
 『K 2.0』というアルバム・タイトルやラーガ・ロック色濃厚な「Infinite」から、このアルバムを聴く前に『K』のアップデート盤と勘違いしていたのは、私も含めて多くいらっしゃると思いますが、2016年現在のありのままの姿を提示したのが、この作品なんだと思います。
 『K』から20年経ってサウンドはラーガ・ロック色・60年代サイケデリック色から、フォーク・ロック色主体に大きく変化しましたが、それでも各楽曲の質の高さ、どこかスピリチュアルな崇高な気高さを感じさせる本作には20年前には感じなかった達観したような深みを感じます。
 基本的にクリピアンの思想として、バンドのメンバーは(バンド名の元になっている)クラシェハラ王に仕える身であるそうなのですが、クラシェハラ王に仕える身としてやらなければならないことは常にベストを尽くすことなのだそうです。
 バンドのメンバーにとって、ベストを尽くすということはインド思想をサウンドとして持ち込むことではなく、どんなサウンドでも一番、自分がベストだと思える楽曲を送り出すことなのでしょう。
 彼等にとって『K 2.0』とはサウンドは時を経て大きく変化しても、思想としてクラシェハラ王を信奉する契りに変わりはないということではないかと思います。
 KULA SHAKERはサウンドとしてインドの思想を持つバンドではなく、どんなサウンドでもインドの思想を体現するバンドだったのだと、このアルバムを聴いて、今更ながら実感させられた感じがします。
 今年はフジ・ロックにも参加するKULA SHAKERですが、デビュー・アルバムの『K』の楽曲はもちろん楽しみだと思いますが、『K』20周年のこのアルバムが苗場の地でどう響くかも楽しみなところかもしれません。






















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