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吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

最高のJOY DIVISIONフォロワー・バンド


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『The Struggle for Utopia』
PROJECT : KOMAKINO




 PROJECT : KOMAKINO2000年代に"現代のSIOUXSIE AND THE BANSHEES"と呼ばれていたポスト・パンク・バンド、THE VIOLETSにも籍を置いていた経験のある、クリス・ケインが2007年にソロ・プロジェクトとしてスタートしたバンドで、やがてバンドは4人編成のバンドへと発展していきます。
 このアルバムは彼等が2009年に発表した唯一のアルバム『The Struggle for Utopia』に収録されている6曲に、新録3曲とリミックス1曲を加えた、「51 RECORDS」からリリースされた日本編集盤で、リミックス曲( 「Syndrom Remix - Tom Furse」 )は、THE HORRORSのトム・ファーズが担当しています。
 このバンドはアルバム1枚を残して解散したものの、2009年には来日公演も行っているので覚えていらっしゃる方も少なくないかもしれません。
 PROJECT:KOMAKINOが活動していた2000年代末には、IPSO FACT、ELECTRICITY IN OUR HOMES、ULTERIOR、S.C.U.M.等、ダークなゴシック/ポスト・パンク・バンドが、ロンドンのアンダーグラウンド・シーンで、しのぎを削っていましたが、その中でも最も注目を集めたのは、このバンドでした。
 2000年代には、INTERPOL、WHITE LIESと言った、JOY DIVISIONフォロワー・バンドが人気を博しましたが、JOY DIVISIONの曲名でもある「KOMAKINO」をバンド名に冠している、このPROJECT : KOMAKINOこそ、2000年代最高のJDフォロワー・バンドだと個人的に思っています。
 クリス・ケインのイアン・カーティスやピーター・マーフィー、時にはイギー・ポップすら感じさせるバリトン・ヴォイスにも、この手のポスト・パンク好きは、充分に惹かれてしまうはずですが、重い雲が空を覆ったような荒涼なシンセサイザーの音色、金属的なスネアと地を這うようなベースが奏でるビートと、単なるJDフォロワー・バンドとして片付けるには、あまりにも惜し過ぎる、ダークなポスト・パンクがこのアルバムでは鳴らされています。
 ほとんどのJDフォロワー・バンドはあくまで、JOY DIVISIONの世界観をエッセンスとして取り入れているのが大半ですが、ドイツ語で「KOMA」 = 昏睡状態、「KINO」 = シネマを意味する「KOMAKINO」のように現実と夢想の中を行き交うような、PROJECT : KOMAKINOのダークな世界観は、間違いなく他のJDフォロワー・バンドを凌駕していると思います。
 しかし、JDの世界観を引き継いではいるものの、あくまで21世紀のアップデートされたポスト・パンクとして鳴らされていて、単なる模倣に終わらせていない点も、高く評価出来ます。
 昨年のパリの同時多発テロ等で世界中の人々の心に巣喰う闇を、そのまま体現したようなサウンドにも聴こえて、私自身、このアルバムを未だに聴き続けています。
 心の中に闇を持っている者が感じている闇の美意識が宿っているサウンドこそ、ポスト・パンク・ファンには最高に響くのですが、解散してしまった、このPROJECT : KOMAKINOもそうした闇の美意識を持ったバンドでした…。


















 
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