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吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

思春期のピート・ドハーティを思わせるティーンエイジ・バンド



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『Die Pop Musik』
THE JACQUES




 THE LIBERTINESのドラマー、ゲイリー,・パウエルとウェイン・クラーク氏(OASISNIRVANAMUSETHE LIBERTINES等のマーチャンダイス/マネージメントを担当していた方)が共同経営するレーベル『25 Hour Convenience Store』からデビューした、英ブリストル出身のガレージ・ロック・バンド、THE JACQUESが今年10月にリリースしたデビュー・アルバム。
 ブリストルと言えば、音楽ファンなら真っ先に、MASSIVE ATTACK、LAMB、Tricky、PORTISHEAD等の、いわゆる"トリップ・ホップ"を頭に思い浮かべると思いますが、ゲイリー・パウエルの発掘して来た、この平均年齢10代のこのバンドは、トリップ・ホップとは全く無縁の若々しいガレージ・バンドです。
 バンドの肝心のサウンドの方は、若さに任せた荒々しいガレージ・サウンドに加え、(まだ幼い感じですが)ピート・ドハーティに近い雰囲気のヴォーカルと、身も蓋も無い言い方をすると、THE LIBERTINES直系のガレージ・サウンドと言えるものかもしれません。
 まだ、デビュー・アルバムはリリースしていないものの、同じゲイリーのレーベルからEPをリリースした、FALSE HEADSもPIXIESと比較される荒々しいオルタナ・サウンドで、THE JACQUESにしろFALSE HEADSにしろ、技術的にはまだ未熟ながらも、ロックが本来持っているはずの衝動性を否応なしに感じさせるのが、ゲイリー・パウエルのレーベル『25 Hour Convenience Store』のバンドなのかもしれません。
 しかし、このTHE JACQUESは単に若さに任せただけのガレージ・バンドではありません。
 このバンドのもう一つの魅力は、あのレイ・デイヴィスにも例えられている、痛烈なシニシズムを感じさせる歌詞にあります。
 「This is England」では英国の右翼へのシニカルな皮肉。「Pretty DJ」ではポップ・ソングに一石を投じ、「Ow Ow Ow」ではあるバンドの気に入らない男を皮肉る等、ウイットを感じさせる歌詞も実に楽しめます。
 一方では、「Painkiller」で、ブリストルのトリップ・ホップ・シーンの先輩アーティストに敬意を表したり、「Down and Out in London and Tokyo」ではジョージ・オーウェルに賛同したりと、決して単なる卑屈な皮肉屋に陥ることもなく、文学性やロマンスも大事にして、高いレベルでの歌詞の構築が成されていると思います。
 思えば、あのTHE LIBERTINESもストリート・ライフを赤裸々に描いた文学的な歌詞も魅力でしたから、そういう意味では、このバンドは立派なTHE LIBERTINESの継承バンドではありますが、このバンドはエルヴィス・コステロTHE BEATLESへのリスペクトも表明しているので、2ndアルバム以降にはまた新しいサウンドが聴ける可能性もあります。
 まだまだ、10代のバンドですから、これから先、様々な音楽をスポンジのように吸収して成長していくに違いありません。

 



「思春期のピート・ドハーティが、エコーバリーのフロントにいるようだ」 ー NME



「レイ・デイヴィスの渋さと、ポール・ウェラーのロマンティックさを思わせる4人のキッズ。3分間の曲の中に思春期の勢いが詰まっている。」 ー Clash Magazine






















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