かなり将来性有望な濃い三兄弟
『Dark Black Makeup』
RADKEY
結成翌年にはFISHBONEのサポート・アクトとして初めてステージに立ち、"SXSW"や"Download Festival"等の世界中のフェスにも出演。
デビュー・アルバム・リリース前から国内外で、かなりの注目を集めていたバンドで、UKツアーもソールドアウト。英BBCの国民的音楽番組『Later with Jools Holland』にもパンク・バンドとしては異例の出演を果たしています(最近のパンク・バンドの同番組への出演で思い浮かぶのはSLAVESぐらい)。
ここ日本でも、昨年の『PUNKSPRING 2014』への出演も果たしているので、デビュー・アルバム発売前から、このバンドを知っている音楽ファンは日本でも決して少なくないはずです。
このアルバムのプロデュースを担当したのは、ARCTIC MONKEYSの『AM』、Jarvis Cockerの『Jarvis』、DRENGEの『Undertow』等を手掛けたロス・オートン。
このアルバムは、英シェフィールドのマッコール・スタジオで制作されていますが、奇しくもオートンが手掛けた、ARCTIC MONKEYSとDRENGEはシェフィールド出身のバンド。
オートンがプロデュースを引き受けた時点で、シェフィールドでの制作が決まっていた可能性はあります。
このバンドの影響源というか憧れていたバンドは、RAMONES、MISFITS、CIRCLE JERKSという曲も短く、聴きやすいパンク・バンドでしたが、コンスタントにライヴをこなしながらも、ひたすらバンドの練習に明け暮れて実力を磨いていったそうです。
鍛え上げた実力の方も、平均年齢20歳そこそことは思えない、迫力のあるオルタナ・サウンドとソング・ライティングのレベルの高さで、パンクというよりは王道オルタナ・バンドの、QUEENS OF THE STONE AGEやARCTIC MONKEYS、FOO FIGHTERS辺りを連想させる、スケールの大きいヘヴィーなサウンドが持ち味で、昨年からUKで大ブレイクした、ROYAL BLOODと比べても遜色のないバンドだと思います。
このバンドの歌詞もかなり独創的で、実はバンドのサウンド以上に面白い側面と言える部分かもしれません。
生徒と教師の許せない恋愛、孤独なバツイチ女、精神病の入院患者、公開処刑や幻覚剤等、歌詞で扱っているテーマが、かなり危ういダークな世界観のものが多く、この辺は彼等が敬愛するMISFITSのグレン・ダンジグと共通する部分かもしれません。
曲で扱うテーマが、悩める若者の日常だったりと若いバンドに有りがちなところにない彼等のダークな感性も、このバンドの大きな魅力の一つと言えると思います。
"PUNKSPRING"出演で一塊のポップ・パンクだと、もしかしたら誤解されている方もいるかもしれませんが、ぜひオルタナ好きの方にも聴いていただきたいバンドです。
ルーツがパンクにあるのは確かですが、ROYAL BLOODと共に将来のロック・シーンを背負って立つ可能性を充分に秘めた逸材だと、断言しても良いと私は思います。
ブレイクしても努力を惜しまない、この三兄弟のバンドが更なる成長を遂げて、日本でも再びライヴで成長を遂げた彼等の姿を観たいものです。