サマソニに引き続き、単独公演も決定!
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MEWはコペンハーゲン・シーンどころか、今やデンマークを代表する世界的なバンドとして知られており、U2のボノや、NINE INCH NAILSのトレント・レズナーまで有名アーティストまで彼等のファンは多いですが、後のICEAGE、LOWER、COMMUNIONSと言ったコペンハーゲンのバンド勢が世界に飛び出すきっかけにもなったと思います。
幾何学的な音パズルの如きプログレッシヴな曲展開、そして、北欧独特の甘く美しいメロディーが見事に絡み合ったサウンドですが、単なる凝り性的なスタジオ・バンドに陥らないライヴ・バンドとしての評価が高いことも、世界的評価に繋がっているのでしょう。
本作のプロデューサーは、SOUNDGARDENの『Superunknwn』、HOLEの『Celebrity Skin』、Kornの『Untouchables』、MARILYN MANSONの『Mechanical Animals』等を手掛けたマイケル・ベインホーンが務めていますが、このアルバムでのサウンドの大きな変化はベインホーンによるところが大きいのは間違いありません。
ベインホーンは90年代の多くのバンドを手掛けた名プロデューサーとして名高いのは、皆さん、ご存知だと思いますが、ベインホーンはどのバンドにも常に大きな変化を求めるプロデューサーで前述に挙げたアルバムを見ていただければ、各バンドの転換期になったアルバムばかりが並んでいることに気付くはずです。
そして、どんなバンドにも、かなりのポップ性を求めているところ。この点も前述のベインホーンのプロデュース作品を見ていただければ納得するはずです。
しかし、元々、フロントマンのヨーナス・ビエーレの甘い声質も大きな武器になっていたMEWにとっては、この変化もむしろプラスに働いたと言っても良いと思います。
それから、ベインホーンの薦めで2006年に脱退したベーシストのヨハン・ウォーラートを復帰させたことも大きな変化というよりも収穫になっています。
ヨハン脱退以降のMEWはツアーではサポートのベーシストを起用して凌いでいましたが、ソング・ライターとしても貢献していたヨハンの穴はとても埋まらず、ヨハンが復帰したことでソング・ライティング面でも非常に本作でも大きな助けになったそうです。
それから本作は、MEW史上初めて、メンバー以外のゲストを迎えた作品にもなっています。
3曲に参加したキンブラ、ライヴでキーボード奏者としてツアーに参加しているニック・ワッツ、そして、BLOC PARTYのギタリスト、ラッセル・リサックと、新しい血の導入も無理なく本作の新生面として評価出来ます。
それから、MEWの代表作の『Frangers』や『No More Stories…』をプロデュースしたリッチ・コスティをミキサーで起用したことで、MEW本来の持ち味を消さずに新しいサウンドの導入出来たと思います。
以前のようにキーや拍子の切替で曲を変化させていく曲構成は少なくなりましたが、甘く美しい局面、ラウドでタフな側面、サンプラーを多用した実験的な側面、様々なバンドの局面を詰め込んで、以前よりもオープン・スタンスで自由度の高い作品になっていますが、MEWを初めて聴く方でもすんなり入り込める世界観に仕上がったアルバムになっています。