吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

『SUMMER SONIC 2015 (8/15)』③




f:id:killer_yoshikage:20150817235843j:image



(SONIC STAGE)



 このサマソニのベスト・アクトを選ぶとするなら私は文句なしに、このTHE JON SPENCER BLUES EXPLOSIONを挙げます。
 最初、彼等を観る前はもちろんライブには期待していたのですが、典型的なライブ・ハウスのオルタナ・バンドという印象の強いジョンスペがサマソニのステージでは真価を発揮出来ないのでは?と余計な心配をしていましたが、良い意味で取り越し苦労でした。
 だだっ広いソニック・ステージにライブハウス的な空間を作り上げるために、敢えてステージ・セットを前方にこじんまりとした形で配置して、オーディエンスにライブ・ハウスにいるような錯覚を起こさせるようにしたのも、ジョンスペのライブを盛り上げるのに一役買った気がします。
 ステージのバックに大きなスクリーンも配置しているのですが、やはり、このライブ・ハウス感にこだわりを持ってのステージ作りが出来るところがジョンスペの大きな魅力でもあると言うことです。
 演奏された楽曲も今年リリースした新作『Freedom Tower : No Wave Dance Party 2015』からの選曲が多かったのですが、中途半端に過去の代表曲中心の選曲にせずに敢えて新作からの曲中心にしたのも個人的には好感が持てました。
 ヒップホップやブルース等の黒人音楽のグルーヴを取り入れた、NYの雑多な音楽カルチャーを深く意識した新作中心の選曲にすることで、ライブでのグルーヴに統一感も生まれ、観客が踊ることも出来るサウンドは喧しいだけに終わりがちのオルタナにはないノリを生み出すことに成功したと思います。
 パンクもあればオルタナ、前述のブラック・ミュージック、アヴァンギャルドまであらゆる音楽カルチャーが混在するNYという街を象徴するバンドであることも、ジョンスペのライブを観ると実感することが出来ます。
 この雑多で猥雑なジョンスペのNYの臭いをこのライブに感じることが出来た方は、きっと、このバンドをサマソニのベスト・アクトに挙げているはずです。
 このバンドが長いキャリアの中でオルタナ・バンドとして評価されてきたのも、単なる優秀なオルタナ・バンドという枠におさまらない、NYのカルチャーを象徴するバンドであるということも、このバンドの魅力なんだとライブを観て実感しました。



⑦KODALINE[19:00]
(SONIC STAGE)

 あらかじめ断っておきますが、このバンドはMANICSのライブを最前列で観るために仕方なく観たので、このバンドのライブの内容には一切触れません (苦笑)
 ジョンスペのライブが終わった後、引き続き最前列に踏み止まっていたのですが、野郎くさいジョンスペのファンが立ち去った後、いきなり客層が若い女性ファンで埋まり出し、このバンドを全く知らない僕はおおいに戸惑いました。
 しばらくすると、Tatumiさんが別れの挨拶に来てくれたのですが、若い女性に囲まれた僕の姿には、さすがにTatumiさんも笑うしかないだろうと思います(笑)
 このバンドはアイルランドオルタナ・バンドならしいのですが、正直、このバンドをジョンスペとMANICSの間の時間には入れないでもらいたいです。
 バンドのサウンドも如何にも女子ウケしそうな甘いメロディーが肝になっているバンドですが、ライブの疲れが出る夜の時間に全く興味のないバンドを観るのは正直、苦痛以外の何物でもありません。
 昼の体力の余力のある時間なら余裕持って観られるバンドかもしれませんが、せめて、同じポップなバンドを観るなら、OWL CITYみたいに知られている曲の多いバンドの方が良いです。
 それか知名度の高い日本のバンドとか入れてもらいたいところですが、別に興味のないバンドで若い女性に囲まれても、ちっとも嬉しくないです(苦笑)
 男ウケするバンドを好む傾向の僕にとって、音楽で若い女性に囲まれるというのは貴重な経験ではありましたが(笑)
 
 



f:id:killer_yoshikage:20150817235820j:image


(SONIC STAGE)

 僕がもっとも期待したライブですが、正直、『The Holy Bible』全曲再現ライブという特殊な形態のライブが、個人的にはどうも煮え切らないライブになってしまった気もします。
 僕自身、MANICSの『The Holy Bible』はデビュー・アルバムの『Generation Terrorists』と並ぶ愛聴盤ではあるのですが、ライブであまりにも忠実に再現し過ぎているために、次の展開が読めないライブとしての面白みに欠けてしまったのも、こういう名盤の全曲再現ライブの最大の欠点と言えるのかもしれません。
 僕は愛聴盤ゆえ、楽曲の曲順も曲の前に流れるナレーションも知っているので、ほとんど楽曲そのものにアレンジを加えていない曲をアルバムの曲順そのままに演奏されてしまうと、ストーリーの分かっている映画を観ているのと同じ気分になってしまうので、曲順も曲のアレンジも大胆に変えないと、正直、どんどんバンドの名盤の全曲再現ライブもつまらなくなる気はします。
 それから観る前から少しは理解しているつもりなのですが、ジェームズが中年の小肥りの親父化しているのは愕然としました。
 もっとも、恒例のスカートは履いていませんが(笑)長身でワイルドな風貌のニッキーは少し横幅は増しましたが(笑)格好良く、存在感という点では今回サマソニで観たアーティストではダントツでナンバー・ワンだと思います。
 もっとも今回のライブは『The Holy Bible』の曲だけでなく、「You Love Us」、「A Design for Life」、「Motorcycle Emptiness」という過去の名曲も披露され、むしろ、こちらの方が盛り上がったかもしれません。
 やはり全曲再現ライブの大きな課題も見えましたが、次回、MANICSのライブを観る時は純粋に過去の名曲だけが聴けるライブで観たいものです。

 今回はやたら、バンドを数多くあくせく観てしまった感じもしますが、フジ・ロック同様に素敵な仲間との時間も過ごせましたし、また来年もフジ・ロックとサマソニで素敵な夏の思い出が作れたら幸いです。













f:id:killer_yoshikage:20150817235810j:image