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吉良吉影の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

魔女のサイケデリック・ガレージ宅急便



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『Annabel Dream Reader』
THE WYTCHES




 英ブライトン出身のサイケデリック・ガレージ・ロック・バンド、THE WYTCHESが昨年リリースしたデビュー・アルバムです。
 THE WYTCHESは近年、TOY、TEMPLES、Charlie Boyer and the Voyeurs、KID WAVE等、あらゆる類の、サイケデリック・ロック・バンドを排出している、Heavenly Recordingsのバンドです。
 前述のバンド連の中でもTHE WYTCHESは、特出した個性とサウンドを持ったバンドだと思います。
 このバンドが注目され始めたのは、2ndシングル「Beehive Queen」リリース時辺りからで、この曲は、THE WHITE STRIPESの名盤『Elephant』のプロデューサー、リアム・ワトソンを迎えて制作されています。
 フロントマンのクリスチャン・ベルは自分達の音楽性を「サーフ・ドゥーム」と呼んでいますが、「Beehive Queen」はベルの言葉を見事に体言した楽曲だと思います。
 本作はクリスチャン・ベルと、THE CORALのビル・ライダー・ジョーンズの共同プロデュース作品。
 ベルは、ARCTIC MONKEYSの『Humbug』のギター・サウンドに刺激を受けたと話していますが、むしろ、ガレージ・ロックとゴシック・ホラーがゴチャ混ぜになった、THE CRAMPSや、THE HORRORSのデビュー・アルバム『Strange House』に近いサウンドと言えるかもしれません。
 THE HORRORSは、2ndアルバムの『Primary Colours』以降は完成度の高いサイケデリック・ロックですが、デビュー・アルバム『Strange House』では、ダークなサイコビリー・ガレージで、本作とも実に共通項の多いアルバムだと思います。
 ただ、THE WYTCHESは『Strange House』や、前述の"Heavenly Recordings"のサイケデリック・ロック・バンドよりも、もっと漆黒感が濃く、よりドゥームなサウンドで、より攻撃的で荒々しいサウンドだと思います。
 元々、ベーシストのダン・ラムジーが加入して現在のスタイルのサウンドを目指す前は、ハードコア・バンドをやっていたのだそうで、元々、攻撃的なサウンド志向のバンドではあったようです。
 古いところでは、前述のTHE CRAMPS、もっと遡れば、60年代にギターの歪んだオーバー・ドライブ・サウンドが主流になる前から、ハード・ロックやサーフ・ガレージの祖となるギタリストとして活動していたギタリスト、リンク・レイ(Link Wray)等も、このアルバムのサウンドを連想させます。
 "Heavenly Recordings"のサイケデリック勢の中では極めて異端なバンドですが、サイケデリック勢だけでなく、近年のUKバンドの中でも、かなりの個性派のバンドとして、かえって注目を浴びているバンドです。
 むろん、彼等が注目を浴びていても、SLAVESやPALMA VIOLETSのようなバンドのように、NMEの表紙を飾るバンドではないですが、近年のUKバンドに今ひとつ刺激を感じないのであれば、このバンドをオススメします。
 近年出たバンドなら、DRENGE辺りが好きな方、Heavenly Recordingsなら、TOY、Charlie Boyer and the Voyeurs辺りが好きなら、本作を聴いてみて損はないと思います。







































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