吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

サマソニで丸ごと演ります♪



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『The Holy Bible』




 MANIC STREET PREACHERSが、1994年に発表した3rdアルバム。その後、失踪したリッチー・ジェイムスが在籍した最後のアルバムですが、1992年発表のデビュー・アルバム『Generation Terrorists』と並び称される誉れ高き名盤です。
 今年の"SUMMER SONIC 2015"でも、アルバム全曲がプレイされるライヴも行われるため、改めて、このアルバムを聴き直している方、あるいは初めて、このアルバムを聴く方もいらっしゃると思います。
 アルバム全体を、ポスト・パンク的な尖ったネジれ感、グランジ的なヤサぐれ感を伴うサウンドは、今聴いてもヒリヒリとした傷みを感じさせます。
 この傷みを伴うサウンドは、リッチーの手掛けた歌詞の世界観を、そのままサウンドに反映させたものですが、グランジ以降の90年代のロック・シーンを(良い意味でも悪い意味でも)象徴しているようなサウンドでもあります。
 しかし、ただ傷みを伴うばかりだけでなく、MANICSの最大の武器でもある、憂いを帯びた旋律と、前述のサウンドの攻撃性が見事に融合しているところが、このアルバムを誉れ高き名盤に押し上げているところです。
 MANICSは労働者階級出身ではありますが、知性を伴った禁欲主義的な部分が、凡百の労働者階級バンドと違うところだと思いますが、このアルバムでは、そのストイックなポリシーがサウンドにも歌詞にも究極の形で体言されているアルバムだとも思います。
 ひたすらネガティブなトラウマを叫んで、必要以上にノイジーサウンドを奏でる、米国のグランジ・バンドやニュー・メタル・バンドとは、あまりにも違い過ぎるのは歴然としています。
 このアルバムは、NIRVANAも影響源の一つにはなっているようなのですが、彼等の"知性"が、このアルバムをグランジNIRVANAの猿真似にはさせなかったのでしょう。
 純粋さと完璧さを求めるあまり鋭敏な魂は傷付き、偽善に対して妥協のない辛口の政治的見解を発し、詩情に結晶させた稀有な詩人のリッチーは、この後、入院後、一時復帰はするものの失踪。
 この稀有な詩人は、詩人としての素晴らしい才能を最高の形で発揮しましたが、彼のあまりにもストイックな感性が結果、自身の魂を削り取り、このアルバムには彼の深い傷痕が残った気がします。
 今年のサマソニでメンバーが、どういう心情で、このアルバムをプレイするのか僕には分かりません。
 我々、ファン以上に、この"傷痕"を理解している三人は、自分達の中でこのアルバムをプレイしなければいけない理由があるに違いがありません。
 このアルバムを聴くと、僕は未だにカサブタにもならない生傷のヒリヒリ感を拭うことが出来ません。
 もっとも、このアルバムはトータル性の強いアルバムなので、例え、過度の傷みを伴ってもアルバムとしてプレイしなければ意味を成さないのは確かですが・・・











































 
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