ウェールズ流グラスゴー・パワー・ポップ(?)
『Peanut Butter』
JOANNA GRUESOME
女性ヴォーカリストのアランナ嬢を始め、全員が"Gruesome"性を名乗っています。
このバンドは音楽メディアには、THE PAINS OF BEING PURE AT HEARTと比較されたりもしてますが、ノイジーなガレージ・サウンドに甘くポップなメロディーが乗るところは、THE VASELINESやTHE PASTELSのグラスゴー・オルタナ・バンドと共通している部分で、知らないで音だけ聴けば、グラスゴーのオルタナ・バンドだと思う方が多いと思います。
パンキッシュな早急なビートに、SONIC YOUTHのようなギター・サウンド、そこに本作のタイトルのようなピーナッツ・バターのような甘ったるいメロディーが乗った、前述のグラスゴー・オルタナ・バンドを連想させるパワー・ポップは体に悪いと分かっていながら、ついつい甘いお菓子を食べ過ぎてしまう感覚に似ています。
2013年にリリースされた、日本盤未発売のデビュー・アルバム『Weird Sister』も輸入盤のみの発売ながらも、タワー・レコード辺りではロング・セラーを記録しているそうで、グラスゴー・オルタナ・バンドを古くから好きな方の支持もあってだと思いますが、日本でも人気はあるようです。
グラスゴー・オルタナ・バンド好きだけじゃなくても、WEEZER辺りのパワー・ポップ、ポップ・パンク、THE VACCINESのようなキャッチーなロックンロールが好きな方にも好かれるバンドだと思います。
偉そうに辛口評価をする(笑)ピッチ・フォークにもウケは良いみたいですが、とにかく理屈抜きで楽しんで聴けるバンドが聴きたければ、迷わず、このアルバムを聴いた方が良いと思います。
音楽情報が蔓延し過ぎて、そういう情報ばかり追い過ぎて、自分の好きな音楽の本質より、やたら幅広く音楽を聴くことを生き甲斐にしている、可哀相な音楽マニアの方もいらっしゃいますが (苦笑) やはり、音楽は本当に楽しんで聴くもの。
情報を追い過ぎて、自分が楽しんで聴ける音楽って何だろうと疑問が生じた時に、こういったパワー・ポップに立ち返って、音楽を楽しんで聴くことも大事だと、このアルバムを聴いて感じました。
もっとも、僕は前回書いた、DU BLONDEや、このバンドのように心から楽しいと思えるサウンドを模索しているんで、音楽メディアに振り回されずに音楽を楽しんで聴いてますがね。