吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

(祝) 来日公演決定!


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『Saturns Pattern』










 10月にも来日公演が決定した、ポール・ウェラーの通算12枚目のソロ作品で、2012年の『Sonic Kicks』以来の新作です。
 今回のアルバムには、THE MOONSのアンディ・クロフツとベン・ゴードリエの二人が主要メンバーとして参加。
 その他にも、OCEAN COLOUR SCENEのスティーヴ・クラドックとスティーヴ・ピルグリム、ウェラーお気に入りのサイケデリック・フォーク・バンド、SYD ARTHURのリアム・マギルとレイヴン・ブッシュ、そして、THE STRYPESのジョシュ・マクローリー等が参加していますが、面白いのはツアー・マネージャーのビル・ウィーラーやエンジニアも楽器を持って参加していたりもしている事です。
 さらに面白いことに、なんとTHE JAMが4人組編成時代のメンバー、スティーヴ・ブルックスが参加している事で、彼はTHE JAMが『In The City』でデビューする前に脱退したわけですが、前作のノエル・ギャラガーグレアム・コクソン、『Wake Up The Nation』のケヴィン・シールズのような豪華ゲストはいないものの、その時に時間の空いているゲストを入れて柔軟に制作されたアルバムのようです。
 楽曲の根幹がウェラー流のソウルにあるのは言うまでもないですが、個人的には本作はサイケデリックがサウンドの要になっている気はします。
 ウェラーは根幹がソウルにあるものの、前作でクラウト・ロックを取り入れたり、時代に合わせる事なく、大胆に新しいサウンドをさりげなく取り入れてきたりしますが、今回は60年代の古典的なサイケデリック、ガレージを主体にした少々、ヘヴィーな感触を感じさせるサウンドになっていると思います。
 このアルバムはコンセプトを基盤にして時間をかけて制作された作品では決してないですが、長いツアーでアルバム製作に時間をたっぷりかけられない分、時間のある時に一曲一曲を全力投球で作り上げ、ライブ感やロックとしてのエネルギーを各楽曲に感じることが出来ます。
 一曲一曲、別々に制作し、アルバム全体の具体的なサウンドのヴィジョンを決して意図して、ウェラーが制作したわけではないのですが、不思議とアルバム全体に統一感を感じさせます。
 ウェラーは本作について、「俺もモダンなアルバムだと思うよ。それを文字通りに受け取ってもらってもいいし、どのように解釈してもらってもかまわない。そう、まさにモダニストが作る音楽だと思うね。」と語っていますが、吉影流に、このアルバムを解釈させてもらうなら、このアルバムは、僕がこのブログでしつこく言っている"THE VACCINES以降"のUKロックと不思議にサウンドがリンクしているところは、ウェラーの言っている"モダン"に繋がっていると思います。
 レジェンドとして自分のスタイルの追求のみに終始せずに、アクティヴにロックにこだわりを持った結果に過ぎないと思うのですが、不思議と、THE VACCINES、ROYAL BLOOD、THE STRYPESと同列で鳴らされている音なのです。
 単に若々しいとか、そういったレベルではなく、ウェラーはまだまだ年齢を重ねても意識せずに、自然に前述のバンド達と同じようにロックな音を鳴らせているのだと思います。
 もっとも、彼はいつだって、新しいサウンドを取り入れなくとも、充分に"モダン"であったとは思うのですが、この作品も常にモダニストとして妥協しないウェラーの賜物と言える作品だと言えると思います。