吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

ガムラン + ポスト・パンク


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『Urban Gamelan
23 SKIDOO









 ノイズ~アヴァンギャルド勢の中から現れた異色のポスト・パンク/インダストアル・バンド、23 SKIDOOが1984年に発表した3rdアルバム。
 エスノ・ファンク、インダストアル、ダブ等のサウンドが入り混じった、23 SKIDOO独特のサウンドですが、本作はインドネシアの打楽器"ガムラン"を取り入れた呪詛的なリズムがアルバムの肝になっています。
 オープニング・ナンバーこそ、ポスト・パンク・ファンなら喜びそうなファンク・ナンバー「F.U.G.I.」で始まりますが、徐々に呪術的なガムランを取り入れたリズムが支配していき、次第に、その世界観にぐいぐいと引き込まれてしまいます。
 彼等のデビュー・アルバム『Seven Songs + Singles』のようなカオティックなポスト・パンク/インダストアル作品ではないですが、彼等の世界観がガムランを効果的に取り入れた事によって、カオティックさに頼らない、より洗練された完成度の高い作品に仕上がっています。
 最近、注目されるようになったゴルジェ(インド~ネパール山岳地帯から生まれたクラブ・ミュージック)の祖と言える作品としての見方も出来るかもしれません。
 個人的には後に登場する、Muslimganzeのサウンドや世界観の祖に思えなくもないですが、民族音楽のビートを取り入れた冷徹な世界観は意外に聴きやすく、このアルバムを、23 SKIDOOの最高傑作に推す方も多いようです。
 ちなみにCDには、CHEMICAL BROTHERSが「Block Rockin' Beats」のサンプリング・ネタとして使用している「Coup」も収録されているのですが、このアルバム、意外にダンス/クラブ系
好きの方が聴いてもハマれるアルバムかもしれませんね。