吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

アヴァン・ガレージの帝王


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『Carnival of Souls』









 1975年に、米オハイオ州クリーブランドで結成された、自称"アヴァン・ガレージ・バンド"が、昨年リリースしたアルバム。
 ポスト・パンクやエクスペリメンタル・ロックにカテゴライズされる事もあるバンドですが、あらゆる音楽性を内包した独創性の強いバンドです。
 「オハイオアンダーグラウンド・シーンの、"Crosby Stills Nash & Young"になる!」と言って結成されましたが、JOY DIVISIONPIXIESR.E.M.、HUSKER DU等が、リスペクトしているアンダーグラウンド・シーンでも影響力のあるバンドです。
 バンドは1975年にデビューしてから、一旦、1982年にバンドの活動を終わらせますが、1987年に再び、活動を再開して現在も活動中です。
 バンド名は、アルフレッド・ジャリの戯曲「ユビュ王」に由来していて、バンドのメンバーはフロントマンのデヴィッド・トーマス以外は流動的です。
 本作はガレージ・サウンドを主体にしていますが、牧歌的なキーボード・サウンドの導入で神聖な雰囲気を醸し出して、プログレッシブ・ロック的な部分もあります。
 色々な音楽性を内包しているのが彼等の持ち味だと思いますが、このアルバムに漂う牧歌的なサウンドが実に心地好いです。
 異形の音楽であるにも関わらず、デヴィッド・トーマスの温かい人間性みたいのが伝わってくるようで好感が持てます。
 ポスト・パンクもガレージもプログレッシブ・ロックも飲み込んだアヴァンなサウンドなのですが、単に異形に終わらない完成形の音楽になっているのはさすがです。
 個人的には、昨年リリースのアルバムでは、SWANSの『To Be Kind』に匹敵する傑作だと思っています。