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吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

魔女狩りの物語


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『They Were Wrong, So We Drowned』
LIARS

 ニューヨーク・ブルックリン出身のエクスペリメンタル・バンド、LIARSが2004年に発表した2ndアルバム。
 2001年に、1stアルバム『They Threw Us All In A Trench And Stuck A Monument On Top』でデビューしたこの時代、奇しくも同じニューヨークから登場した、THE STROKESを中心に"ロックン・ロール・リバイバル"もしくは"ガレージ・リバイバル"が世を席巻したのを横目に、そのニューヨークから"ポスト・ニュー・ウェーブ"、"エレクトロクラッシュ"等とも形容される異形のバンドも登場するようになったのですが、LIARSもそのバンドの一つでした。
 デビュー・アルバムで、(LIARSいわく)"ポスト・パンク・ブルックリン・アート・ダンス"という彼等にとって有り難くない称号を、見事に払拭したのが、この2ndアルバムで以降の彼等の活動の重要な分岐点になったアルバムです。
 エレクトリック・サウンドの大胆な導入と、もはやバンドの体を成さないほど、見事に解体されたバンド・アンサンブルで、デビュー・アルバムが習作にしか思えないほどの見事な変貌ぶりを遂げたアルバムで、以降のバンドの方向性を決定づける重要なアルバムになっています。
 資料によると、LIARSのメンバーのアンガス・アンドリューとアーロン・ヘムフィルが、ワールド・ツアー中に、THIS HEATSILVER APPLESを聴いていたこと。
 Bjorkのツアー中のオープニング・アクトを務めた、YEAR YEAR YEARSにアンガスが同行した際、電子音を巧みに操るMatmosの演奏に感銘を受けたことが本作の音楽的な着想のヒントになったと記されています。
 ちなみに、本作に収録されている「Broken Witch」という曲は元々、タイトル案にも浮上していた曲ですが、この「Broken Witch」という言葉をアンガスが検索した際、間違えて「Brocken Witch」と入力してしまい、すると、ドイツの魔女伝説に関するページが出てきたそうです。
 それは中世ドイツにおいて魔女の宴会の日とされた「聖ワルペギスの夜」にまつわる民話で、人々が魔法と迷信にとりつかれている様子に興味を持ったアンガスが"恐怖"をテーマに、その世界観を本作に再構築したそうです。
 いわゆる、この"魔女伝説"のコンセプトの導入が、他のエクスペリメンタル・アーティストの作品と違った摩訶不思議な独創的な世界観を築いている要因になっているのだと思います。



「Broken Witch」
LIARS



「There's Always Room On The Broom」
LIARS