吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

爆音恐竜ポップ


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『Nature Nurture』
DINOSAUR PILE-UP

 2007年に結成された、英リーズ出身のバンドで、このアルバムは、2013年に発表された、彼等の2ndアルバム。
 2014年には、「SUMMER SONIC 2014」と単独公演でも来日しているので、名前だけは知っている方も少なくないんじゃないかと思います。
 DINOSAUR PILE-UPは、フロントマンのマット・ビッグランドを中心に結成されたバンドですが、度々のメンバー・チェンジを重ね、現在はマットと、ジム・クラッチリー(ベース)、マイク・シールズ(ドラムス)の三人で活動しています。
 14歳の時に聴いた、FOO FIGHTERSのアルバム『The Colour And The Shape』から影響を受けたマットが、2006年に"MOTHER VULPINE"というバンドを結成しますが、シングル1枚のみをリリースして、あっけなく解散して、2007年にマットが結成したのが、このDINOSAUR PILE-UPというバンドです。
 FOO FIGHTERSが影響源のマットが、リーズどころか、UK音楽シーンの影響を受ける事は当然なく、バンドのサウンドは轟音と言うよりは、もはや爆音に近いグランジサウンドで、それでいて、めちゃくちゃポップで、NMEは彼等のサウンドを"グランジ・ポップ"と評していますが、身も蓋もない言い方をすれば、マットの影響源のFOO FIGHTERSを爆音で表現したようなサウンドだと思います。
 彼等の他の影響源としては、NIRVANAWEEZER、THE SMASHING PUMPKINSPAVEMENT等が挙げられていますが、何といっても、このバンドの魅力はマットの類い稀なソング・ライティングの才能にあると思います。
 前述の影響源のバンドはオルタナではあるのですが、共通して素晴らしいソング・ライターでもあったわけですが、このバンドも見事に影響源バンドの系譜を引き継いだものと言えると思います。
 同様の系譜のバンドとしては、NINE BLACK ALPSを連想しますが、NBAのような翳りのあるメロディーではなく、DINOSAUR PILE-UPは滲み出るようなポップネスと言えると思います。
 ネットで多くの音楽情報が流れ、必要以上の音楽情報が氾濫して、数多くのインディー・バンドや新しい音楽スタイルも聴けるようになりましたが、現在、こういう爆音でなおかつ良質なポップ・センスを持つバンドは、なかなか見かけなくなりましたが。
 最近出たバンドで、こういうストレートなサウンドで勝負出来るバンドは彼等とROYAL BLOODぐらいなもんじゃないかと思います。
 かつて我々、ロック・ファンは、The Jesud and Mary Chainや、NIRVANASMASHING PUMPKINS、あるいは、QUEENS OF THE STONE AGE等、オルタナであると同時に彼等のポップ性にも惹かれたはずなのです。
 情報で音楽を追うのも大事かもしれませんが、もっとストレートに響く音楽に素直に向き合う姿勢も大事なのではないでしょうか?



「Peninsula」
DINOSAUR PILE-UP



「Derail」
DINOSAUR PILE-UP