吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

爆音ナパーム弾、到着いたしました


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『Fantasy Empire

 エクスペリメンタル音楽好き、ピッチフォーク経由のインディー・ロック好きだけでなく、あらゆるジャンルの爆音音楽好きが待ち焦がれたアルバムかもしれません。
 2009年の『Earthly Dailights』以来、5年半ぶりの今年の、LIGHTNING BOLTの最新作です。
 5年半ぶりとはいえ、ブライアン・ギブソンはメタル・プロジェクトのMEGASUSで、ブライアン・チッペンデイルは自己のバンド、BLACK PUSやビョークとのコラボ等で二人共、それぞれ精力的な活動を行ってはいたのですが、それでもファンにとっては長い間、ずいぶん待たされた気がします。
 このアルバムは、今までのLIGHTNING BOLTのアルバムと違ってハイファイな設備が整ったスタジオでの初めての録音だそうで、もちろん音質は今までよりも向上しています。
 しかし、いくら設備の整ったスタジオで録音しようが、彼等の暴虐的な爆音サウンドは全く変わりません。
 しかし、やっているサウンドはちっとも変わっていないのにマンネリ感を全く感じずに聴けるので、LIGHTNING BOLTの過去作を気に入っている方は喜んで聴けると思います。
 ガレージ・バンドやハードコア、メタル等、喧しいと思いながらも、ついつい気持ちが高揚して夢中で聴いてしまう、あの衝動を常に与えてくれるのが、LIGHTNING BOLTだと思います。
 ネットで音楽の情報が氾濫している中、原始的衝動で聴ける、LIGHTNING BOLTサウンドは、エクスペリメンタル、インディー云々、関係なく聴ける本当の意味でのロックだと思います。
 LIGHTNING BOLTを聴くのに、わざわざ音楽の歴史やインディー・シーン云々等、余分な知識は不要だと思います。
 チッペンデイルは音楽ライターの天井潤之介氏とのインタビューで「自分達の家や練習場所に夜に集まって、好きなだけ演奏する。それが自分達の最終目的だって気がするんだよ。あの場所でモノを創りあげていく、その体験が僕達にとっては目標なんだよ。」と語っていますが、この作品が彼等の過去作と変わらなくても、この作品は彼等にとっての"最終目的"なのかもしれません。
 ちなみに今までの彼等はツアーが終わった後に、一気にアルバムを作り上げたそうですが、今回の『Fantasy Empire』はスタジオでじっくりと時間をかけて作ったそうです。



「The Metal East」