吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

だから終わるのだ・・・


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『No Love Deep Web』
DEATH GRIPS

 HELLAのドラマー、ザック・ヒルが、米カリフォルニア州サクラメントで結成した、エクスペリメンタル・ヒップホップ・バンド"DEATH GRIPS"が2012年に発表した2ndアルバム。
 このアルバムに関しては当時の所属レーベルだったエピックと発売時期に関して揉め、勝手にフリー・ダウンロードで音源を配信したり、男性の性器を思わせるオモチャ(?)を写した写真をアルバム・ジャケにするなど(販売されている時は黒い袋に入っていますが)、何かと問題を起こした、いわくつきのアルバム。
 アルバムはダークでノイジーなエレクトロ・サウンドのエクスペリメンタル・ヒップホップですが、インダストリアル系の分厚いプロダクションで実験性も兼備したサウンドです。
 ザック・ヒルのバンド、HELLAは初期こそマス・ロック的な志向のサウンドでしたが、3rd以降から実験性の高いエレクトロ系エクスペリメンタル・サウンドを取り入れ、ザック自身のソロでも自由度の高いエクスペリメンタルなアルバムを制作しました。
 ザックがHELLAやソロ・アルバムでの実験性の高いエクスペリメンタル・サウンドが完成の域に達したのが、このDEATH GRIPSのサウンドだと思います。
 ドラマーとして超一流の技術を持つザックが、ドラマーとしての技術だけでなく、エクスペリメンタルなアーティストとして素晴らしい才能を発揮したアルバムだと思います。
 そのDEATH GRIPSも、「我々は今が最高の状態にある。 だから終わるのだ。」というメッセージを残して解散を表明。
 このバンドこそ終わりを遂げたものの、ザックのエクスペリメンタル道は、更なる高みを目指して次なるステージに進むのだろうと思います。


「No Love」
DEATH GRIPS