吉良 吉陰の奇妙な音楽日記

It's Only Music, But I Love It.

ニヒリズム・ポスト・パンク


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『5 Albums Box Set』
THE FALL

 THE FALLの88~89年の様々な音源の入った5枚のアルバムが入ったボックス・セットです。
 内容的に初心者向けでもなければ、かといってマニア向けでもないのですが、3000円弱で買えるシロモノなので、THE FALLをちょっと聴いてみるのにも悪くはないかな?と言えるものだと思います。
 収録されているアルバムは88年に発表したアルバム『I am Kurious Oranj』、『The Frenz Experiment』、89年に発表されたライブ盤『Seminal Live』、87~89年のシングル曲を収めた『Singles』、シングル「Hit the North」が、なぜか、6ヴァージョン入った(笑)『Hit the North (Part 1 - 6)の計5枚。
 この5枚の中で最も聴くべきは『I am Kurious Oranj』です。
 ポスト・パンク・ファンなら絶対聴くべきアルバムで、ボックス・セットの購入を躊躇うなら迷わず『I am Kurious Oranj』のみだけの購入でも良いかもしれません。
 『The Frenz Experiment』は、ポスト・パンクというよりは、むしろポップ寄りのオルタナだと思いますが、『I am Kurious Oranj』程のインパクトはないです。
 しかし、THE KINKSのカヴァーも収録されていたりして、ポップな要素を内包しつつ、マーク・E・スミスのニヒリズムが感じられる、コレはコレで魅力的な一枚。
 シングル集は当時の7インチのA・B面両面の曲はもちろん、12インチ・シングルの曲も収録されていて、当時の彼等のポップ性、捻れたポスト・パンク等、バラエティーに富んだ楽曲が楽しめる一枚。
 ライブ盤も当時のライブ感が伝わる優れたライブ盤で、彼等の捻れたビート感がダイレクトに伝わるライブです。
 熱くはないものの、ライブ・バンドとしての一面は伝わると思います。
 「Hit the North」の楽曲そのものは、イカしたビート感のダンス・ポップで、個人的にはなかなか悪くない曲だとは思いますが、別に、6ヴァージョンは要らないです(苦笑)
 当時のUKの音楽シーンはクラブで踊る為に、ミックスした曲も含めた、12インチ・シングルが、よく発売されていたので、その手のシロモノだと思いますが。
 彼等は、スタジオ・アルバムだけでも27~28枚出しているので、このボックス・セットは彼等の長いキャリアのほんの一部に過ぎませんが、下手なボックス・セットよりは安価で楽しめる品だと思います。



「Big New Prinz」
THE FALL


「Hit The North」
THE FALL


「Victoria」
THE FALL